新 着

履 歴

2007年02月12日   トーンジャンプとの闘い


PC上での画像のレタッチは、求めるイメージに近づける為の修正→画質アップでありたいものです。しかしながら、デジタルデータは加工すればする程、理論的には劣化していく傾向がある。従って 出来ればフィルム写真と同じく、撮りっきりで完成させたい・・・

実際には・・・印刷やWEB向けなど 用途向けの条件に合わせた加工が必要なので、明るさやコントラスト・カラーバランス等手を加える所が出てきます。その際にいろいろ出来てしまうことが災いして、画像のバランスを崩してしまうのです。私が一番苦労しているのが、グラデーションが破綻してしまう現象を防ぐこと。

「トーンジャンプ」というやっかいな症状があります。

例えば、いつも使用しているキヨハラソフトで撮った写真。ほとんどマニュアル手法で撮らざるを得ない癖玉レンズなので、露出・コントラスト・カラーバランス等 撮りっきりでは完成しません。特に露出の調節はダメダメです。撮ってみないと分からない?そこでレタッチ・・・明るさを上げたり下げたり・・・するとグラデーションの階調に縞模様(バンド)が現れる。なだらかな丘に段々が付いた様になってしまうのです。

写真の青空の部分だけ抜き出して、フォトショップのヒストグラム(明暗差の情報分布図)で見ると・・・本来大きな一つの山になっていると 滑らかな表現になるのですが・・・この写真では3段階の大きな差が出来ていることを示します。情報から判断すると、レタッチのし過ぎで「トーンジャンプ」が発生した訳です。全体で見ると、綺麗に見えるかもしれませんが、ブログ用に縮小したサイズなのであまり目立たないだけです。
印刷には使えない代物になります・・・

「トーンジャンプ」が発生しにくいデータづくりのコツがあります。
それがダイナミックレンジを出来るだけ広く確保しておくこと。レタッチによって抜けていく情報分をあらかじめ多めにしておく必要があります。単に白飛びや黒つぶれ対策だけではなく、情報の多さは大事な意味を持つ訳です。

そう言えば・・・撮影段階で出来ることをしっかりしておくこと。結局はアナログ部分で可能な限り手を抜かない事が肝要!・・・具体的には光を良く読んでシャッターを押すこと。こちらが先の話でした・・・


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2007年05月08日   RAW現像のメリット 1(JPEGとの違い)


デジカメの画像は JPEGデータで保存している人が多数派だと思われます。無論それで特に問題は無いのですが、一眼レフデジカメにはRAWというモードが用意されていながら使われていない。本当は便利なのにもったいないのです。私はRAWモード推進派なので、ここでうんちくを垂れます(笑)

先にレタッチの必要性について・・・
写真をパソコンで調整することによって 自分の欲しいと思うイメージにより近づけたい→プリントのクォリティアップを図ります。撮影時の難しい状況を 後で修正することを織り込んで作業する場合も重宝します。つまり修正(フィニッシュワーク)までを撮影の範疇と認識します→レタッチ前提の撮影術を肯定する事になります。

無論、撮りっきりのデータが即 完成状態であることが理想でしょう。ポジフィルムでは シャッターを押した瞬間に カメラマンの責任にひと区切りがつく訳ですし・・・撮りっきりの結果を見た場合、「デジタル時代になって写真の質が下がった」という意見も耳にしますね。これは耳が痛いです・・・

レタッチ自体はスキルの事情なので、データ形式の話に戻します・・・JPEGファイルではダメのか?と言うと イケナイ訳では無いのです。ただ比較的レタッチに向いていない形式だと言えます。何故かと言えば、カメラ内にて画像情報が有る程度間引かれて圧縮され、データ量が意図的に少なくされている。よく言われるのは「すでに調理が終わった料理」の様なもの・・・完成した料理を材料に更に調理を繰り返すと、かえって美味しく無くなっていくという理屈です。 特に崩れていくのは階調性。グラデーションが汚くなっていく・・・トーンジャンプも発生しやすくなります。

RAWデータはどうかと言うと?
その言葉の意味するものは「RAW=生」。調理前の素材・・・ソフトウエアで「現像」して初めて利用可能なデータに成ります(最近RAWデータを直接印刷するソフトも出て来ましたが)情報を間引く様な圧縮ではなく、専用アプリケーションで開くととても大きなデータサイズになります。 撮像素子から得られた素の情報を12〜22bit(機種による)処理→16bitデータとして取り出せます。JPEGはその半分以下の8bitの情報量しかありません。最初に情報量が多いと変化に強くなり、多少の加工・調整を施しても劣化が抑えられ目立たないという事です。

最小限のレタッチで現像されたRAWデータは、より階調の豊かな表現力の高い結果を得ることが可能となります。また、RAWデータは何度でも呼び出して修正が可能で、元の状態に戻すことも出来ます。JPEGは不可逆圧縮という特性を持っており、同形式で「開く←→保存」を繰り返すと情報がだんだん劣化していきます。JPEG形式間で何度もやり直すことは勧められません。

デメリットと感じる部分をあげてみると・・・RAWはデータサイズが大きくなってしまう点→パソコンの処理能力に負荷をかけますので、古いPCでは時間がかかってしまう。1000万画素レベルのNikon D200ではJPEG ラージFINEではファイルサイズが約6MB(開くと約29MB)、それがRAWでは約16MBになり 16bit Tiffファイルに書き出すと約58MB近くになります! (データサイズは状況により多少の差が出ます)RAW現像は 専用ソフトと多少の専門知識が必要になる為に敷居が高い・・・また作業工程が多くなるので面倒くさくなります。通常のWebやプリント用途では、8bitデータであることが前提なので、最終的には16→8bit化調整変換を行う必要も出てきます。
メーカー毎にRAWの形式が異なっており、互換性が全く無いのは泣き所です。

その他のメリット「ホワイトバランス」「ピクチャースタイル(仕上げ設定)」「シャドウ&ハイライト(D-Lighting)」等の機能については 順次触れていきます・・・

写真はシアトル郊外の市場前にて 街頭パフォーマンス 2006.4/7
Nikon D100 AF-S 18〜70mm F3.5〜4.5G プログラムオート ISO200
RAWモードデータ→16bit TIFF→8bit JPEG


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2007年05月09日   RAW現像のメリット 2(ホワイトバランス)


一眼レフデジカメで撮ったRAWデータは、専用ソフトで現像を行います。

その段階でいろいろな画質の調整加工が行えるのですが、前日述べた様に画質の劣化を最小限に抑えながら作業することが可能です。条件としてはメーカー指定の純正アプリケーションを使うこと・・・例えばCanonのカメラで撮ったRAWデータは、Nikonの現像ソフトで開くことさえ出来ません。メーカーの専用ソフトは、カメラ本体に同梱されているものもあれば、有償のアプリケーション扱いの場合も有り(例外として・・・Silkypixの様な汎用ソフトであれば、全てのメーカーのRAWに対応していますが その分価格が高いです)

良く使う現像ソフトの機能として「ホワイトバランス」があります。

これは白い色をニュートラルなシロと認識できる様にすること。ホワイトバランスが崩れると画面全体が青や赤や緑っぽく濁ってしまい、いわゆる色かぶりという状態になります。JPEGで撮影したデータのホワイトバランスを再調整するのはなかなか難しい・・・一言でいうと画質が劣化しやすいので強くは修正出来ません。カラーバランスのRGB値を変動させるだけでは簡単に修正出来ないのです。

RAW現像ソフトのホワイトバランス調整は、電球・蛍光灯・太陽光と言った光源の種類を選ぶことによって、大きく崩れた色調を一発で修正します。更に色温度の微調整で追い込みます。

撮影時にホワイトバランスの設定を、可能な限り状況に合ったものにしておく事が大事なのは言うまでもありません。ところが 現実には、統一された光源環境下で撮影できるとは限らない。微妙にホワイトバランスがずれてしまいます。結果やはり白がシロで無くなってしまう・・・

そういうケースでは、グレーバランスの設定というマニュアル調整を使います。これが大変便利なのです。 グレーバランスは、撮った写真の中の無彩色部分(モノクロのグラデーション)と思われる部分を サンプリングする事で調整する方法。かなりの精度で修正が可能であり、私はこれを良く使います。

フィルム撮影では、撮り終えたフィルムのカラーバランスを後で変える事は大変難しいのでやりません。フィルムの種類も「デーライト(太陽光用)」と「タングステン(電球光源用)」位しかないのです。ではどういう対応をしていたのかと言うと、レンズの前に色の付いたフィルターを被せていました。蛍光灯の緑被りを抑える為には、その補色にあたる紫色のガラスを付けて打ち消していた訳です。微調整は大変難しかった・・・

ホワイトバランスに関しては、デジタルにかなりの優位性があると私は感じております・・・

写真はニューヨークの自然史博物館 
海洋コーナーにある実物大のシロナガスクジラ 2006.4/4
Nikon D100 + AF-S 18〜70mm F3.5-4.5Gレンズ使用
ISO500 -0.7EV プログラムオート
RAW現像ソフト(NikonCapture4.2)にて現像後 PhotoshopにてJPEG化
上から電球・自然光・高演色蛍光灯 設定
(目視では電球設定が現実に近く 青っぽい照明の部屋でした)


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2007年05月10日   RAW現像のメリット 3(カラー設定)



カメラの設定に「シーンモード」というのがありますが、これはシャッタースピードと絞り値の組み合わせをケースバイケースで選択するものです。例えば動きのある鳥やスポーツ撮影などで、シャッタースピードを速めに設定するものはスポーツのシンボルマークが付いていたりします(シャッタースピード優先モードに近い)

デジタルになってからは、そこに色の濃さやコントラストを電気的に増減する機能が追加され、新たにピクチャーモードという項目が別途用意される様になりました。ここ2〜3年の間に発売された一眼レフデジカメに搭載されています(メーカーにもよる)これはメニューの奧にあって、いちいち呼び出して設定する面倒くさいものです・・・

キャノンで言うピクチャースタイル、ニコンの仕上がり設定がそうです・・・これは何かというと、被写体に合わせて表現を変えようというもの。たとえば人肌は適度な赤みと柔らかいコントラスト〜風景では緑を強調して強めのコントラストという様に、味付けを変えたパラメータが撮影時に選択出来ます。(2008年5月現在:ニコンは「ピクチャーコントロール」という新方式に変えています)

Canonの場合、スタンダード・ポートレート・風景・
       ニュートラル・忠実設定・モノクロ・ユーザー設定。
Nikonの場合、 標準・ソフトに・鮮やかに・より鮮やかに・
       ポートレート・白黒・カスタマイズ。

その他のメーカーでも同じ様な設定があり「ピクチャーなんたら」という言い回しに近い。ではその詳細はどうなっているのかと言えば、輪郭強調・階調補正・カラー設定・彩度設定・色合い調整の組み合わせで設定を構成している様です(Nikonの例)個別に呼び出してカスタマイズも出来ます。シャープネスやコントラストはこの設定とは別に独立して存在しています。

あまりに選択項目が多く、どう設定したらいいのか分かりづらいのです。旅行の時などは ニュートラル(初期設定の標準状態)にしておいて、撮影はプログラムオートで撮った方が撮影に専念できます。事前に多くの試し撮りでもしてみない事には、それらの設定の組み合わせを理解する事は難しい。一体どの位のカメラマンが理解しているのでしょう?全て把握しろという方が無理だと思いますが・・・ そこで、撮った後で場合に応じて調整した方がよろしいのではないかと私は考えております。

つまりこの場合もRAWで撮っておけば、現像処理時にこれらの項目が全て後付でコントロール出来るので ゆっくり時間をかけて仕上げることが可能です。

全部の設定を説明すると一週間かかりますので、ここは私が特にこだわっているパラメータについて・・・ RAW現像時に特に重みがあるのが「カラー設定」(Nikonの例)写真のディテールを大きく左右します。ここだけでも次の様な大きな調整差が付きます(※このモードは後にピクチャーコントロールという設定に統一されました)

モード1a:人肌の階調重視 コントラスト弱め(s-RGB)
モード 2 :ニュートラルなコントラスト、
     色情報・階調性が良く素材向け(Adobe RGB)
モード3a:緑が映えるコントラスト強めの風景向け(s-RGB)

ここで問題となるのが、カラープロファイルという定義。これはカラースペース(色空間→Gamut:ガモット)という言い方でよく説明されています(難しい内容なのでここでは簡易に紹介) 世間一般で使われているパソコン機器は全てs-RGBを基準とした設計がなされています。(Adobe RGB用のモニターは高価です)

Adobe RGBというのはいわば色の情報量を拡張したモード。色情報が多いと言っても、s-RGBを基準としている機器では正確に表示することが出来ません。したがってしかるべき調整を施した後に、s-RGBモードに再変換して使用します。Adobe RGBを経由して調整するだけでも違いは大きく出ます。(印刷媒体ではAdobe RGBデータを直接DTP原稿ファイルとして扱っていますが・・・)

写真はニューヨークのスクールバス 2006.4/4
Nikon D100 + AF-S 18〜70mm F3.5-4.5Gレンズ使用
ISO200 +0.3EV プログラムオート RAWモード撮影
RAW現像ソフト(NikonCapture4.2)にて現像後 PhotoshopにてJPEG化 上から
モード1a / モード2(表示確認用にs-RGBに再変換)/ モード3a
一見微妙な違いに見えますがプリントするとその差が分かります。


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2007年06月29日   OSでRAWデータの表示が可能に



デジタル一眼レフカメラのRAWデータは 通常 専用ソフトを使わなければ見ることすら出来ません。特殊な構造のファイル形式であり、メーカーによって少しずつ違うため互換性が極めて低いデータと言えます。

そしてメーカーが提供する専用ソフトを使っても 開くだけでもかなり時間がかかります。もの凄く重いファイル(12〜14bit情報→展開して16bit情報になります)・・・1000万画素クラスのNikon D200の場合は、NEFというRAWファイルが約57MBに達します。(コンパクトデジカメのJPEG写真データは 基本的に8bit情報なのでRAWの約半分位の大きさです)

1200万画素以上のデジタル一眼レフカメラだとサイズは更にデカくなる・・・ どの位のデータ量になるのか考えるだけで頭が痛い・・・処理能力の高いパソコンが必要になる訳です。

実はMacOS X 10.4(Tiger)では、追加アップデートで「RAWデータの表示」に順次対応して来ました。条件付きで一部メーカーのカメラのRAWを開く事が出来ます。しかしながら私が春先に導入したFUJIFILMのS5Proには未対応でしたので、SilkyPix3.0かPhotoshopCS2を使わざるを得ません・・・それが、新しいアップデータで対応可能になった様です。バージョンは10.4.10。小刻みに少しずつ進化しています。さっそく試してみますと 「プレビュー」と言うOSに付属しているビューワー上で 難なくS5ProのRAW(RAF)データを開く事が出来ました。しかもかなり高速に展開することが出来ます。

ちょー便利(笑)

内容を確認するだけで画像処理をしない時に、毎回専用ソフトを立ち上げて時間をかけてデータを開くのは面倒でしたので、今回のOSの機能アップはとても有り難いものです。ちなみにWindows Vistaでも各カメラメーカーが提供するRAW表示プラグインをインストールすると 「フォトギャラリー」と言うビューワーで、RAWデータの表示が可能になるそうです。

今年の10月に発売予定のMacOS X 10.5(Lepard)では、「クィックルック」コマンド(Windowsのプロパティにあたる?)で、ファイル内容のダイレクト表示が可能になるとか。そうなると、アプリケーションを使わなくてもRAWデータの確認が出来る様です。

OSの進化には全く驚かされます・・・


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2007年07月15日   Adobe CS3インストール



昨年の12月にPhotoshopのトライアル版(お試し用期間限定版)も発表されたAdobe社のCreativeSuite3(CS3)・・・やっと発売されました!私は二ヶ月近く前に予約をしていたのですが、昨日やっと手に入れました。

パッケージはMasterCollectionという全部入り!今まで必要に応じてアプリケーションは一つずつ買っていたのですが、今回は一気に丸ごと揃えてしまった・・・10種類に及ぶアプリケーションを一度にインストールするだけで約1時間半もかかりました。

パソコンのアプリケーションはバージョンが上がる度に、新たな機能がついてきます。今回も期待出来そうなプラスαがたくさんありそうです。まずは私にとって一番使用頻度が高いPhotoshopですが、Extndedという機能拡張バージョンになりました。何処がパワーアップしたのかと言うと、加工・合成処理においての精度が上がり スマート処理の幅が広がりました。

「スマート」とは何か?・・・

一つ分かりやすい例。通常シャープネスを上げるお馴染みの処理は そのファイルを開いている間はヒストリー項目で「やり直し」が可能ですが、一度保存してしまうと処理はフィックスされてしまいます。従来のフィルター処理は全部そういうモノでした。

ところが、画像処理する写真を「スマートフィルター用に変換」してフィルター処理をしますと・・・再度開いた画像ファイルのレイヤーには「スマート処理」という項目が出来ていて、その部分だけを何度でも呼び出して再設定可能になります。オリジナルデータの非破壊加工処理に近い→(デジカメのRAWファイル+現像ソフトには以前よりあった機能なのでこちらはとても重宝していました) Photoshopユーザーにはお馴染みの「調整レイヤー」にフィルター項目をプラスしたという機能でしょう。これはなかなか凄いことなのです。

例えば さっき食べてお腹に入ってしまったケーキを、呪文ひとつで机の上に戻すことが出来る様なもの!? Photoshop CS3 Extendedは、他にも いろいろ様々な事が可能になっています。かつて試しに使っていたトライアル版では確認出来なかった機能がたくさん入っていますね。順次レポートしていきます。

そう言えばもう一つ・・・通常アプリケーションソフトはアップグレードすると処理機能自体が肥大化して、速度が低下して行きます。そのたびにパソコンのハード側の処理能力をアップしなければ作業効率が低下して 矛盾した結果を招きかねない。今度のCS3バージョンは、その点がかなり改善されている模様。アプリケーションの起動時間に関しては、何とCS2よりもCS3の方がかなり速いのは驚きです。Photoshopに関しては私のPC環境では約6秒!今までの半分以下の起動時間になりました!・・・


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2007年07月15日   Photoshop CS3 Extendedの新機能



先ほどCS3導入の紹介をしたばかりですが、さっそくレポート第一弾です。仕事で使うのですから早速勉強中・・・

来週以降 ある仕事の撮影で、パノラマ写真を撮る予定でいます。「パノラマ写真」とは、主に水平方向に広い視野で撮影した写真のこと・・・通常は一枚のショットで収まりきらない場合に、複数 位置をずらして撮影し、後で横につなげてパノラマ化したりします。ところがこれがけっこう面倒くさい作業なのです。

まず、同じ位置からカメラを左右に振って 遠景をずらして写すのですが、レンズの歪みの関係で写真の端の部分はパースが付きます。2〜3枚の写真を合成処理しようとすると、このパースのズレが影響して完全には一致しません。そこで、Photoshopの機能にあるズレた部分を変形させて一致させる処理を行います。明るさにも差が出ますので 境界線が分からない様に微調整も行います。多少の慣れと手間暇が必要です・・・

この作業が、なんとほぼ一瞬と言っていい手間暇で 完了させることが可能になりました!

ズラして写した写真を一枚のデータ上にてレイヤーとして重ねておき 両方のレイヤーを同時に選択状態にします。「レイヤーを自動整列」→「レイヤーを自動合成」というコマンドを押すだけで・・・ほぼ完成!?・・・簡単すぎる!

左上の写真がそうなのですが、縮小しているとはいえ合成の境目がほとんど気にならないレベルです。その左上の写真の右下に、レイヤー合成の二枚の写真に どの様なマスクが作られているのか重ねて表示してあります。この作業をやった事がある人が見れば、何をしているのかが分かってもらえるはずです。レイヤーマスクが複雑に入り組んでいますが、これをボタン一つで一瞬でやってのけている訳です(驚)

以前いろいろ試行錯誤してうまく行かず、さじを投げていたパノラマ作業が一気に実用範囲になりました。しかも苦労は1/10以下という感じ・・・これなら超々広角レンズで撮った写真を想定した撮影もシミュレーション出来ますね!

うれしい反面、これはこれで大変な脅威でもあります。何しろ誰でも同じ事が出来る様になるのですから。苦労して習得したプロの技術の価値が またひとつ暴落したのかもしれません(汗)・・・


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2007年07月20日   後処理を考慮した撮影時の判断



先日 Photoshop CS3の新機能で パノラマ写真の作成について書きましたが、その後も何枚か作成して出来具合を検証しています。すると驚く事に・・・合成する複数の写真の解像度や写り具合に 多少の隔たりがある場合でも、かなり良い結果が出る様です。

写真はニューヨークのエンパイアステートビル屋上から見下ろした摩天楼。ハドソン川の夕景です。縮小サイズだと何だかイラストみたいにも見えます?合成だからもう写真とは言えませんね・・・

左右二枚の別ショットを合成したもの。右側は少しピントが甘く露出もやや外していたのですが、「フルオートの処理」だけで ほとんど違和感なく繋がりました。上下を少しトリミングしています。どちらか片方だけでは今ひとつ中途半端な感じだったのですが、一枚にすることで存在意義が高まった感じがします。

こんな風に簡単にできるのが分かっていれば、撮影時に「後処理を前提とした撮り方」に意味が出てくると感じました。今は横長に繋げていますが、上下左右に合成していくと 今度は超々高解像度の大判写真も出来ますね。
その手法自体は 既に著名なグラフィックアーティストがトライして行っているものですが、大変な技術と労力を要するものなので 気楽に挑戦する気にはなれませんでした。それが通常写真の範疇で出来そうなのです。

新しい技術が柔軟な発想を後押しする一つの例となるかもしれません・・・


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2008年02月20日   HDRとPhotomatix Pro



Photomatix Proというシェアウエアのソフトがあります。mixiでお友達になったJangoさんに教えて頂きました。サイトを見ると、Photoshopのプラグインバージョンがあったのでさっそく試してみました。

最初に・・・
通常デジカメの画像は8bitという圧縮された狭い階調のデータです。これは白から黒までのグラデーションを0〜255という256階調で表現可能。これがデジカメのRAWモード(12bit相当)では4096階調、そこから出力される16bitモードでは65536階調に、HDRと呼ばれる32bitでは一気に何と10億階調にまで拡張します!
元のデータが少ない情報量では、画像処理過程で色々悪影響があり、階調はどんどん劣化します。出来れば元から少しでも多くの情報量を確保したいところ。しかしながら、8bitを16bitに一旦変換して作業をすると、最初から最後まで8bit処理した時よりも若干劣化が防げます。そんな訳で、高画質を維持するための処理プロセスでビットモードを拡張して作業する方法は有効であると言えます。

それが分かっているのなら、なんで最初からデジカメのJPEG画像は8bitなのか?と言うと、階調が増えれば同時にファイル容量も爆発的に増大するためです。容量の限られたメモリーに少しでも多くの枚数を記録するには8bitが適当であるとメーカーは判断したのでしょう。また、通常のパソコン環境下では、モニターで表現できるのは実は256階調相当。8bit画像のクォリティ再現までしか出来ないと言うことです。また色空間(ガモット)再現能力もWindowsが標準としたs-RGBまでしかサポートしていません。色空間の広いAdobe RGBは高価な専用モニターでなければやはり正確な再現は出来ません(正確な確認が出来なくとも現状のPC環境で扱うことは出来ます。プリント出力でその差を確認可能)豊かな色再現と高い階調性を表現(確認)できるパソコン環境は かなり高価になってしまう為、個人で仕事をしているフリーランスレベルではなかなか導入が出来ないのが現状です・・・

HDRという概念は・・・ハイダイナミックレンジの略。階調レベルを拡張し、白飛びや黒つぶれのない画像処理を行う為に必須のモードです。32bitモードで画像処理をするときによく出てくる言葉であります。

話をPhotomatix Pro に戻します・・・
写真は 以前ニューヨークに行った時に一番最初に撮った記念ショット。RAWからほとんど未調整で現像したのが一番上のカットです。

Photoshopのプラグインバージョンでは、開いた一枚の写真にダイレクトに処理を施す仕様。使う写真は16bitモードである必要があります。まずはシャドウ・ハイライト処理に近いエフェクトで明暗領域を調整し ダイナミックレンジを擬似的に拡張します。それにクロマやコントラストの強調を行い仕上げます。パラメータも大雑把でかなり強引なさじ加減。画質の劣化が目立つのは仕方がありません・・・mixiにアップした画像では、640×426ドットに縮小しているので荒れが分からないだけです。
トライアル版では、画面の三カ所に透かしが入ります。裏技でその透かしは除去して完成(真ん中)イメージ強調が向いているかどうか、最初に使用する写真もよく選ばなければなりませんね。

Photomatix Proは有り難いことに MacOS X版の単体アプリケーション(β版)が存在します。こちらもちょっと試してみました。プラグインと違ってちゃんとした使用プロセスがあります。まずは元写真(RAWデータ)から、プラスマイナス1EV値のデータを出力して合成3枚の素材画像を用意しました。このソフトも恐らく16bitデータを32bitに拡張して内部処理をするものだと思われます。
アプリケーションのメニュー Generate HDR imageから素材画像を一覧に取り込みます。Tone Mapping処理を行うメニューで微調整する余地があり、Photoshopのプラグイン版とは効果がかなり変えられます(下)

不思議なことにこちらではトライアル版の透かしが入りません。期間限定なのか起動回数に限度があるのか?私は英語が駄目なので、使用条件の文章全部を理解できません(苦笑)ライセンスキーの購入項目は起動時にハッキリしているので操作に誤りはないと思いますが・・・

まだ少ししか使っていないのでメリットデメリットの全ては分かりませんが、Photoshopの32bit HDR合成処理よりもPhotomatix Proの方が使い易いと感じました・・・


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2008年03月05日   パスの切り抜き作業



私たちは日頃 雑誌やチラシ・ポスターなどの多くの広告物を目にしています。そこに載っている写真は、ただ写したままの状態ではありません。広告ともなると様々な画像処理が施されております。その内容について少しばかりコメントしたく思います・・・

写真撮影の仕事をしていると、私の画像処理の内容も画質のレタッチだけに留まりません。手間がかかる作業に「切り抜き」があります。撮った写真のオブジェクトの輪郭にそって中身を残し、背景を切り捨てる作業です。商品カタログの写真は、バックグラウンドを生かした「カクハン」扱いのもの以外は、ほとんど切り抜き処理が施されたものです。

かつてフィルム撮影のプロセスでは、カメラマンはシャッターを押し、フィルムの中から採用するカットを選び出すところまでで仕事の区切りがありました。切り抜き処理は、印刷所のデザイン担当者がマスクフィルムと呼ばれる追加処理をやってくれておりました。

それがデジタル処理の現在では・・・「Photoshop上でのレタッチ→ペンツールでの切り抜き」という作業がセットになっております。つまり、背景切り抜きの作業はカメラマンが行う責任になってしまいました(フォトレタッチやレイアウトのデザイナーが別に存在するケースはうらやましい限りです)ペンツールというのは、パスと呼ばれる輪郭情報を画像上に打ち込むための道具。パスは切り抜きを行うオブジェクトの周囲を一筆書きでぐるっと一周し、マスク作りの基準になるもの・・・

ここで問題となるのは、そのパスの打ち込み作業がなかなか難しく、一筋縄ではいきません。極端な例を挙げると、人の髪の毛や 網の目の様なもの凄く細かい対象物、輪郭がボケている写真 etc. どの様に背景を切り抜けば良いのか途方に暮れる事もあり得ます・・・

切り抜き作業にパスが必要なのは、出版業界のデジタル版下作成でのお約束になっています。絶対必要条件!? 決まりなので異を唱えることも出来ません。版下を作るアプリケーションのクォークエクスプレスやインデザイン、イラストレーター上でレイアウトするときに必要な埋め込み情報なのであります。限られた状況ではパスを使用せず、消しゴムツールで背景を塗りつぶしただけでも可能かも知れません。でもそれがなかなか認められないのが現状です・・・

パソコンで仕事が出来る様になってからというものの、個人で出来るスキルの幅は広がりましたが、同時に担当する仕事の内容も大幅に拡張されてしまったのであります・・・


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2008年03月08日   パースの修正作業


日頃 目にしている広告物の写真・・・皆さんは何か不自然な事に気が付きませんか?広告の写真はイメージ優先なので、見た目を優先して画像処理が施されています。

例えば・・・(判りやすい極端な例をあげます)→ビルを見上げた写真を撮ります(左)
この時点でまずカメラのレンズの特性による不自然さが存在します。

コンデジの広角側で撮ったこのビルの輪郭は 少し膨らんで樽型に見えます。構成が複雑だったりコストの安いレンズになる程この現象は目立つ場合があります。次に、上に行くほどパースと呼ばれる歪みが現れますが、これもレンズの画角によって極端に生じます。ではどの辺りが自然なのか?と言うと、やはり人の目で見た感じが「正しい=自然」とするしかありません。それはそれでアバウトな基準なのですが・・・

そこで画像処理ソフトで修正します。

私の自分の目で見た感覚を元にすると、真ん中の画像あたりが「自然」かな?と感じますが、広告物に載せる写真となると右の画像くらい変形させる場合があります。不動産関係のチラシに写っている情報はこんなレベルではないでしょうか。これは正確かどうかではなく、あくまでイメージ優先の画像処理です。商品関係の写真も多くがこういう処理を施されています。

日頃、見栄えの良い情報ばかりが目に入ってくるので、一般の人たちもそれに馴れてしまっている可能性があります。撮って出しの写真を載せるとかえって不自然だと思われることもあるかも・・・

私が普段ブログに載せている写真も、「水平線の傾き」と「広角レンズで撮った強めのパース」に関しては修正をして出しています。あとシャープネスは有る程度かけていますね。これらは、広角レンズのパース表現をそのまま表現として捉える見せ方を否定するものではありません。単なる好みです。撮影の段階で 出来る限り歪みが目立たない様に撮る努力は 無論言うまでもないです。レタッチした時点で、本当は写真(真実を写すもの)とは言えなくなっておりますが、その辺りはご了解願いたい部分であります。

正確な記録写真と報道写真においては、明るさ調整程度までしか容認されていないことでしょう。それは当然なことであります。改ざんされた情報は真実ではありませんから。一方 私は広告側に身を置いているので、「その範疇にある写真」は、画像処理に関して目一杯容認する考えであります。


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2008年04月01日   ハイパスフィルター


画像レタッチの方法論は様々あり、人によってもやり方に違いは出てきます。

フォーカスがちょっと甘く陰影の締まりの足りない写真をレタッチする・・・
写真の鮮鋭感を高め くっきりさせる時によく利用するのが、コントラストを高める方法。しかしながらコントラストは強め過ぎると、白飛び黒つぶれを起こす結果にもつながる。そこで通常は控えめにコントラストを調整して少しシャープネスを強めます・・・今までそのセオリーに沿って処理を行っていました。

ところが最近Photoshopのフィルター欄を眺めていましたら、私が一度も使ったことの無い項目があるのに気が付きました。それが「ハイパス」

使い方も最初判らなかったのですが、調べてみると普段使用しているRAW現像ソフトにも同じ項目がしっかり存在していました。何でも輝度差のある輪郭成分だけを検出するフィルターだとか。これを利用して複製したレイヤーに差分のみを抽出します。そのレイヤーの描画モードをスクリーンにし不透明度を調節して重ねると、鮮鋭度とシャープネスが同時に高まります。要するに輪郭線の部分を二重に重ねてくっきりさせる理屈?(アンシャープマスクに近いとも言えます)・・・

画像イメージのコントラストを高めずに鮮鋭度を程よく高めるのに重宝しそうです。ちなみにシャープネスを上げただけとも結果が異なりますね・・・色々なフィルターがあるものだと感心しました・・・

上:オリジナル
中:コントラストとアンシャープネスフィルター適応
下:ハイパスフィルター適応
   レイヤー設定  →レイヤーに複製を作る
           →ハイパス半径4.0適応
           →重ね方:スクリーンに変更
           →レイヤーの透明度50%
           →レイヤー統合


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2008年04月14日   クロマキー処理  1



日頃多くの人が何気なく目にしている映像や写真には、より見やすくする為の様々な処理が行われています。そのうちの一つが「切り抜き」です。(別記事でまた取り上げます)

雑誌の印刷物なら画像データにパスを埋め込む必要があります。

ですが、パスの切り抜きには得手不得手が存在します。それは何か?
取りあげてみると・・・
 1.形が網の目の様に入り組んだ細かい対象
 2.輪郭線がボケて境界がハッキリしない対象
 3.髪の毛の様に細くて微細な対象
 4.向こう側が透けて見えるガラスなど・・・
 5.コントラストが低く背景との境界線がハッキリしないもの
などなど・・・色々なものがあり、これらはパスを付けづらい、或いは不可能です・・・

そういう対象はどう扱うのか?ですが、通常は背景を生かした画像全体をそのまま掲載します。印刷業界ではこれを「カクハン」と呼びます。

でも実際にはパスを使わない別の方法も存在しています。
写真の中の対象となる部分を残し、それ以外を単色で塗りつぶしてしまう。パスで切り抜いたオブジェクトはよくモノトーンの背景に「配置」してレイアウトしますので、結果的には見え方は同じとも言えます。デメリットは複数のオブジェクトを重ね合わせたりするのが難しくなる、背景込みでデータが膨らむ等々・・・

言葉で言うは易しですけれど、背景を全て塗りつぶす。(或いは消しゴムツールで消す)のは結構大変であります。必要な所まで潰してしまったりします。そもそもパスの切り抜きがうまく出来ないという前提である素材なら、塗りつぶしも簡単にできないのです。

そこで・・・クロマキーという技術に注目します。クロマとは色を意味する業界用語。指定の色をキー(特定の条件)として抜き出す・・・

クロマキーとは元々カラービデオ映像を対象にし、色の成分差を利用して「背景を抜く」技術であります。例えばハリウッドの映画で、主人公が魔法で空を飛んだりしているシーン。あれはブルーバックと呼ばれる青いスクリーンの前で俳優が演技し、後で画像処理で青い部分をCG画像に置き換える技法です。メリットは初めに述べたパスの切り抜きに適さない様な対象でも分離できることに尽きます。

そんな便利な技術があるなら、何故もっと早くから使わなかったのか?という疑問がありますね。当然理由があるのです。例えば既に普及しているパソコン用のビデオ編集アプリケーションには、そのクロマキーの機能が付いている。私が普段使用しているFinal Cut Proにも存在します。静止画でも高機能と言われるPhotoshopにもそういう機能は最初からあります。でも使う事はほとんどなかった・・・

理由はその精度にあります・・・例えば、昔のテレビ番組やニュース報道で人間と背景イメージがあまり馴染んでいないものを見たことは無いでしょうか?輪郭に色が着いたり、チラチラと不自然な境界線が目立ったり、コントラスト差が曖昧な場合に消失してしまったりする。要するに精度が不安定で、クォリティを常に保証出来ないという事です。結果が分かっているので余程理由がない限り利用しません。

ちなみにクォリティが充分なもの→うんと高価なハード込みのアプリケーションは存在します。何十万〜数百万円!?そう言うスタジオ仕様は別格なので、個人では最初から選択肢には入れる術もありません。またあえて探してみると、静止画仕様のクロマキーアプリ自体があまりポピュラーでは無い事に気が付きます。

ところが・・・私はとある事情であるソフトウェアを導入しました。
「ROBUSKEY」(ロバスキー)というソフトです。
何十万円もしませんし、Photoshopのプラグインソフトなので、操作もシンプルで使いやすいです。これから定期的にこのソフトについて検証を兼ねたレポートをしていく予定です・・・

イメージ:ロバスキーのインターフェイス
(商品は仕事上の借り物なのでシルエットにしてあります)


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2008年07月11日   クロマキー処理  2



クロマキー処理とは「特定の色相を 抜き出す条件とする技術」オブジェクトを背景から分離する時に使います。分離してそこに新たなバックグラウンドを合成する時に便利なのです。問題は・・・パス情報が存在しないため、印刷原稿に使用するデータにあまり適さない手法とも言える。

それでも、クロマキー処理が有利であると言えるケース・・・オブジェクトの輪郭が曖昧でパスが付けづらいモノなどには有効であるともコメントしました。でも、現実問題として他にも使う場合があります。
それは「短時間に複雑な処理を一気にこなす」実利的な方法論であります。

専門学校の「おもちゃ科」では、数多くの商品のレビュー記事をレイアウトする課題をやっています。一体のフィギュア模型を様々なアングルで撮影します。その全てにPhotoshopのペンツールでパスを打ち込むだけでかなりの労力を要する。今回時間が足りない!そこで、私個人の判断で 撮影→切り抜き作業をクロマキー処理で進める事にしました。ただし、私が手助けするのはここまで・・・この後の合成やレイアウト処理は 無論学生たち本人のノルマであります。

クロマキーとなる色相に「#54 スティンガー」と呼ばれるグリーンの背景紙を使用します。この緑色をキーにして、バックグランドを除去しレイヤー化して行きます・・・

フィギュア本体に若干緑被りしている所が 背景と一緒に抜かれてしまうので、事前の処理として・・・被っている所にクイックマスクをかけて彩度を落としておきます。後はクロマキーソフトのROBUSKEYを使って一気に抜きます。今回 ひとつ盲点だったのは、このキャラクターの眼が緑色だったこと。そのままでは 眼が透明になってしまいます(笑)この部分だけはマスクを別途作り コピペで別レイヤーに待避させなければなりませんでした・・・

今回は処理の効率化の為にクロマキー処理を使いました。でも 本来の使い方として、画像合成処理の精度を上げる手法にも触れていきたいと思います。


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2008年09月23日   レイアウトのこだわり



先週末にHP作成ソフトの「BiND for WEBLIFE 2」 を手に入れました。今現在のサイトはバージョン1で作っていますが、バージョン2で再構築すると出来る事が広がるそうです。Ver.1のデータを2へコンバートする作業に取りかかりました。でも、アプリケーションの仕様で、コンバートするとレイアウトが変化してしまうので苦労しています。些細なことながら細かな作業に時間を使い、少々疲れました(苦笑)

全体の80%はまぁまぁ不都合無く移行できましたのでそこは良しとして・・・一部のコーナーに関してはレイアウトが大きく変わってしまい、どうしても納得のいく方法が見つかりません。結果として新バージョンでのアップロードに至りません。

一応コンバートを可としている部分のデザインについて・・・

まずは従来のレイアウト(上)写真は縦並びにして周りに枠があり、コメントはその右側に句読点優先で改行しレイアウト。改訂したかった点として、文字をデフォルトで一回り大きくしたい。Ver.1では出来なかった部分。

そのデータをVer.2で開くと(中)の様に写真の周りにグレーのバックグラウンドが勝手に付き 消せません。文字は希望通り一回り大きく出来ました。幅が膨らむので、一部改行はせずに流し込み優先で詰めるレイアウトに変更。配置は左側に写真、右側にコメントというパターンを組めるテンプレートを使用していますが、細かな調整は仕様の制約に縛られます。バックを全て白ベースに戻すには、別のテンプレートを使用しなければならない。

ところが、配置を似せて作ろうとすると今度は写真の周りに枠が付けられなくなります。更に、右側のコメント欄の左頭を上下一直線に統一したいのに、写真にそって回り込んでしまったりします。あちらを立てればこちらが立たないという状況。テンプレートを使う方法論での制約から抜け出られません。

妥協案として調整したのが(下)の状態。枠は写真のみにでは無く、全体に薄く付きます。コメント量が左側の写真の高さを超えなければこれで問題ありません。コメント量が増えると都合が悪くなってきます。やはり完全なコントロールを望むのであれば、HTMLベースでの調整が必要になりそうです・・・

自分の個人のHPデザインなので、100%主観の好みでレイアウトを決めています。好き嫌いで価値を決めると、かえって妥協しづらく「これでいいや」とはなりません。第三者から見ると大した事のない問題に見えるかと思います。でも好き嫌いというのは、自分にウソが付けないのでどうしようもありません(汗)


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2008年09月29日   クロマキー撮影用小物 試作1号



これまでに幾度か取り上げているクロマキー処理(→上のコメント) グリーンバックで撮影して、専用ソフトで背景を一発で消し去る手法です。

背景を抜いたオブジェクトは、レイアウトフリーになり、色々なバックグラウンドと合成することが可能。クロマキー処理自体はPC上の静止画像ではあまり一般的では無く、通常は輪郭にパスを手作業で打ち込んで切り抜く方が一般的です。でも複雑なものや大量の写真を短時間で処理する場合、パス抜きはあまりに大変な作業となります。一瞬で背景が抜けるクロマキー処理で済ますことが出来れば大変有り難い。

それなのに、日々の作業でクロマキーを多用しないのには理由があります。商品撮影の段階で グリーンバックを使っての撮影作業に結構時間がかかる。ここを簡略化できれば・・・と思い立ちました。

考えたのは・・・小物(立体物)を取りこむのに、フラッドベットスキャナーを使う事がある。わずかな時間で取り込めますので大変便利なのです。その時にグリーンバックでスキャンすれば何とかなるのではないか?と言うこと。対象物が紙の様に薄ければ、グリーン紙を重ねてそのまま撮ることが出来ます(→Illustration欄 8/12)・・・問題はやはり立体なのです。

立体物に紙を被せてスキャンすると、紙にオブジェクトの影が落ちてしまいクロマキー処理の精度が落ちます。使い物になりません。そこで、少し距離をとって紙を被せる簡易な小道具を作りました。小物の撮影台として使うプラスチックの台の内側にクロマキー用の#54スティンガー紙を張り込むだけ(左)それをスキャナー取り込みの時に使います(中)そのデータをクロマキーソフトで処理しておしまい(右)

結果は半々で、使えるか使えないかは微妙なところでした。平べったいものなら限定的に使えそうです。しかしながら、厚みのあるオブジェクトは、その断面に光が乱反射して輪郭が怪しくなります。グリーンバックで抜くと、一部消失してしまう・・・

でもこの方法はとても速くて捨てがたいので、色々状況を変えて試していきたいと思います・・・


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2008年09月30日   クロマキー撮影用小物 方策2式



昨日試したクロマキー処理用のスキャニング方法は、結果が今ひとつでした。何とか実用化したくて色々試してみました。

クロマキー専用の背景紙「#54スティンガー」を使わない方法も試しました。例えば・・・かつて受験の時に使用した緑色の下敷きを被せて上から光を当てる方法(上)結果は全く駄目。スキャニングすると、緑色は綺麗に飛んでグレーになってしまいます。

次に試したのが、小物の接写撮影に使っているリングライトをスキャナー台に逆さまに乗せて、上にスティンガー紙を被せるやり方です。(中)こちらの方が、前の二つの方法よりも結果が良いです。成功率がぐっとアップしました(下)

立体物の大きさや形状に制約がありますけれど、実用レベルに達したかなと思います・・・



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2009年01月04日   Photoshopの進化形態CS4



昨年末にPhotoshopをバージョンアップしました。私の仕事では、常にお世話になっているメインツールです。ソフトウエアは度々バージョンアップしますが、その進化が必ずしも正しく効率的であるとは限りません。容量が肥大化し、処理スピードが低下するデメリットもあります。それでも画像処理に関しては、新規の機能には魅力的なものが多いので、結局必要と判断してしまいます(→2007.11/11のコメントより)

今度のPhotoshopCS4はバージョン11。使ってみて・・・ついに対応したか!と感心した新機能がありました。それはJPEG画像ファイルをRAWデータと同じように細かく現像調整する事が出来るようになったこと。これは、SILKYPIXというデジタル現像ソフトが他社に先駆けて誇っていた機能です。これが出来ると、画像の調整範囲がもの凄く広がりますので大歓迎!JPEGは後補正がしにくい既に一度完成したファイル形式ですから・・・PhotoshopCS4を起動して、環境設定→ファイル管理→CameraRaw環境設定→JPEGの処理設定で使えるようにします。

また、今度のバージョンから、グラフィックの描画をCPUでは無くグラフィックカード上での処理へ割り振れる様になりました。具体的にはOpenGLの設定が新たに付いたこと。これも環境設定のパフォーマンス設定で切り替えられます。グラボ(グラフィックカード)をバージョンアップすれば、同マシン上で処理能力を向上させることも可能になります。これもかなりポイントが高いですね!

しかしながら・・・今回のバージョンアップで、アドビ社は余計な事もしてくれました。それは、またしてもインターフェイスの改変をやってくれた(泣)これはとても困ります。かつてショートカットのチェンジをやらかしてユーザーの顰蹙を買ったことを忘れたのか?特によく使うイメージコマンドの配列をいくつか移動したのは腑に落ちません。慣れたユーザーは項目を視覚で追うのでは無く、指がだいたいの位置を憶えているのです。アドビのシステム設計者は自分で使っていないのではないか?と疑ってしまいます。体が覚えた操作を変更するのは、一から憶えるのより時間がかかりますね・・・

善し悪しが多くあるPhotoshopCS4ですが、トータルでメリットの方が大きな良くできたソフトで有ることに間違いなさそうです・・・

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2009年01月04日   CS4の機能検証 1(JPEGの現像処理)



一眼レフデジカメの優位性に関して・・・その理由のひとつに、RAWモードで撮影した画像データの調整がしやすい事が上げられます。JPEGデータはファイルサイズを小さく圧縮することが出来るメリットと引き替えに、デジタル情報の欠落が発生し、それがレタッチに向かない性格のものになってしまう・・・だから、高画質を求めるならRAWモードで撮影した方がよろしいという事になる訳です。デジタル画像処理をする上で、特にRAWデータをレタッチする場合は「現像する」と表現することがあります。

前回のコメントで述べたPhotoshopCS4の新機能で、JPEGの画質調整の幅が広がったと述べました。それは果たしてどの程度の向上(扱いやすさ)が見込めるものなのか?試しに、昨日コンデジで撮ったぼたんの写真(JPEG)をひとつ「現像」してみました。

今までJPEGのレタッチではなかなか難しかったホワイトバランスの調整と、露出補正の微調整がRAWモードと同様のパラメーターで補正できました。シャープネスも細かなコントロールが効きます。なかなか良い感じです。コンデジでは無く、一眼レフデジカメで撮ったのだと言っても通用しそうな雰囲気に近づきました。調整がやりやすくなっただけでも拾いもんです。

上がコンデジ撮って出し、下がPhotoshopCS4での現像処理したもの

ちなみに・・・それでは、もうRAWモードで撮影するメリットが失せたのか?と言うと、決してそんなことは有りません。RAWにはやはりそれなりのアドバンテージがバッチリあります。何しろ、元の情報量が圧倒的に違うのですから。カメラメーカー付属のRAW専用ソフトで調整すると、大変きめの細かい微調整が目一杯出来ます。今回の「JPEGの現像」は、両者の差が、従来より多少縮まったということなのです。それはそれで大きな成果であります。


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2009年01月27日 パス抜きは印刷目的で無ければ省略できる!?



写真素材の加工時にいつも苦労すること・・・

それは写真のパスの切り抜きです。とある目的の為に素材のサンプルを作ろうと、標本箱にあるオオクワガタの雄を一匹撮影してみました。ご覧の様に ヒゲや脚は細くてトゲトゲがあります。これをパス抜きで切り取るのは少々手間です。多少輪郭を食ってやせ細ってしまうからです。今回はHP用途なので、データにパスを入れる必然性もありません。別のやり方も可能になります。

そこで・・・こんな時にお世話になるのが「クロマキー処理」での背景飛ばし。「ROBUSKEY」(ロバスキー)が頼りになります。#54スティンガー背景紙(グリーンの紙)でオオクワガタの標本体を撮影し、一発抜きで済ましてしまいます(写真下)繊毛の細かな部分もしっかり抜けて上手くできました。楽な上に正確です。この様な標本昆虫に、クロマキー抜きは合っているなと感じました。

撮影時にグリーンバックで撮る手間と、後処理でのパスの切り抜きのどちらが楽か?と言えば・・・やはり前者でしょう・・・何時でもこれが使えればなー!とつい愚痴までこぼしたくなりそうです(苦笑)


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2009年03月09日 BiND for WEBLIFE 2
         「リンクボタン周辺のノイズを消す方法」



たびたび話題にしておりますが「HPの構築とそのデザイン」を行うには技術的なハードルがあります。基本的にはHTMLを書くか、Dreamweaverの様な専用アプリケーションを使いこなす必要があります。そのどちらも簡単ではありません(出来る人から見れば情けない話ですが・・・)私の場合は、デザインレイアウトのイメージを、記述やコマンドに置き換える時点で整合性を失います。なので、Photoshopで作った部品をペーストして行く感覚でデザインが組める BiND for WERBLIFEというソフトに大変有り難みを感じました。その事は、このHPのコメント欄に心情を吐露してあります。

昨年9月にその BiND for WERBLIFEのバージョン2が出たので購入しました。InternetExplorer6で表示がが崩れるのを改善したり、Bindのデータを直接Dreamweaverで修正可能などの事情が改良されているとの事です。でも・・・気になる現象が発生しました。バージョン1で作ったデータをバージョン2で読み込むと、完全に同じレイアウトにならないのが少々歯がゆい思いでした(↑2008.9/23のコメント:レイアウトのこだわり)

ある程度 データのコンバート作業は済んでいたのですが、忙しくしているうちに作業は放置状態になっておりました。実を言うと・・・レイアウトのこだわり以外にも気になる事があった為です。ボタンとして配置した画像の縁に、意図しない波線の様な黒い点が生じて、それを消す方法が見つからなかったので、それが解決しない事には先に進む気がしなかったのです。全ての隅に発生していましたが、図の赤い丸で示した所が特に目立ちます(画像 上)ここがどうしても気に入らなかったのです・・・

通常、リンクボタンに画像データの衣を被せる指定をしてレイアウトをすれば良いはずです(画像 中)私のやり方が何か規定に反する様な指定だったのか疑ってみましたが、理由は分からず終い。っで、少しやり方を変えて症状の発生を回避することにしました。

方法は特別な事では有りませんでした。「リンクボタンに画像を被せる」のでは無く「画像にリンク先を指定する」 これだけの事でした。発想を逆にしたら解決した訳です・・・ ブロックエディタに並べた画像データ一つ一つに、クリック指定項目(画像 下)にリンク先指定を入れただけです。これで黒い波線の発生は無くなりました。

この件は・・・
メーカーのHPや、BiND for WEBLIFE 2のフォーラム質問欄にも見あたらなかったので、あえてここにコメントを残しておきます。もしかしたら、同じ症状を気に掛けている人がいるかもしれないので・・・3月中に、現在のHPをバージョン2で全て置き換える方向で作業を進めることにしております。


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2009年04月18日 16進法におけるカラー指定



私は写真を撮っていますが、時には構図もブレも全く関係ない写真を撮ることがある。それは単純に色を切り取って来るためのもの。今やグラフィックのかなりの割合がデジタル作業です。色を決める時にカラーピッカー(絵の具のパレット)を使います。その時にPhotoshop上で撮ってきた写真の色をスポイトツールで吸い取り、その色情報を利用する手がありますね。

カラーピッカーの下に♯の付いた囲みがありますが、ここに表示された6桁の記号が固有の色コードです。パソコンでの色信号は通常8bit処理レベル。RGB各色は256階調ずつの情報を持っているので256の三乗で約1677万色の表示が可能という計算(ここは本の記事からそのまま引用)それをHTMLの記述では16進法のコードに置き換えて認識するということらしい。16進法は「0123456789abcdef」の16文字を組み合わせての表記。なので、カラーピッカーの♯後に載っている数字が色を示しているコードなのですね。

昨日 IKEAで買ってきた緑色のグッズを並べて見ました。私の好きな蒼(緑色)系統が多い・・・Photoshop上で色情報を解析するとそれぞれ記号の羅列に置き換えられます。明るさやノイズの誤差があるのでスポイトツールの当て方でかなり差が出ますけれどそこは良い意味で適当に(笑)

こうして得た色のコードは、他のアプリケーションで色を指定するときに使います。同じコードであれば、モニターのカラーマッチングが狂っている別々の端末でも色表現の統一(理論値)が可能です。



2009年04月19日 散歩がてらの色彩狩り


デザインは机の上でのイメージワークでもあります。でも、私の場合・・・部屋の中で悶々と考えていても発想が広がっていくとは限らない。インスピレーションという感覚的な何かが重要だったりします。それが「鍵」となってデザインのテイストに影響する。曖昧な例えになりますが、結局おのれのモチベーションが重要かな!?とも思えるプロセス。これは理屈で説明できない部分なので、適当な説明で流します・・・

今日は天気も良く気温も暑すぎず寒すぎず・・・気持ちが良かったので、表で昼食を取るついでに散歩に出かけました。近所の緑もなかなか綺麗でした。色のサンプルをいくつか撮って来ました。

こういうものは、見た瞬間の感動そのものなので、いわば個人の記憶色として認識されます。後で写真を見ても「あれっ、こんなもんだったかな?」と色あせて見えることもあります。今日は、コンデジの撮影モードを ノーマルから色彩を鮮やかにするモードに切り替えて少し強調して撮りました・・・

左の写真の木(真ん中)は、季節外れの鶯が枝におり、ホケキョッ!と澄んだ声で鳴いていました。BGMを聞きながら観賞する緑の色は、更に鮮やかな波動を涼やかに放っておりました・・・

FUJIFILM Finepix F31fd プログラム+フジクロームモード

 


2009年04月20日  タイポグラフィ



ここの所、必要あってデザインスキルの見直しを図っています。

日頃 時間が無かったり手間を惜しんだりして、ついつい手慣れたパターンを使い回してしまっておりますが、本来は事前のデザインワークをしっかりやるべきであります。自分がやりやすい思われる作業の仕方に つい陥ってしまいます・・・

タイポグラフィ(文字のデザイン)も凝りだしたらド壷にはまるデリケートな課題・・・

MacintoshのOSにはヒラギノというプロポーションの良い書体が添付されており、これがともて美しい。それでいつもこれを使い回してしまっている。この書体は太さの違うパターン3書体入りで2万円近くします。MacOS Xは、ヒラギノ明朝・ゴシック含め5書体入って1万5千円程度なのですから破格のコストですね。おかげで本来日本の出版業界でスタンダードなモリサワのCIDフォントの出番が無くなって来ました?!こちらも単体でけっこう高かったのに(汗)一方、アドビのイラストレーターに付録で付いて来た小塚明朝という書体もなかなか良いフォントです。漢字だけでなく、アルファベットで使用しても収まりがよろしい。タイトル見出しを細字で見せる時にけっこう使っています。

でもでも・・・一般のビジネス書類やWEB全般に使われる書体には、高い確立でMS明朝とMSゴシックが使われている。圧倒的な普及率を誇るWindowsのシステム標準フォントとして互換性の点で安心できます。つまり文字化けする可能性が低い。このフォントは・・・文字詰めがガチャガチャしていて座りが悪く私は嫌いです。ワード形式のビジネス書類でも無ければ出来るだけ使いたくありません。ハッキリ言って早く消えてほしい存在です。マイクロソフトもそのクォリティに気がついているらしく、Vistaではメイリオというかなり綺麗な書体を標準仕様に付けてきました。今のところ、Vista自体が普及していないのであまりお目にかかれませんけど。実はXP用に無償で使えるメイリオのダウンロードサービスが、昨年より始まっているのですが、そのこと自体が知られていませんね。「メイリオ ダウンロード」でググればすぐにヒットしますのでWindowsユーザーの方にはお勧めです。

WEBデザインで少し変わったフォントを使用する場合は、アウトライン化して埋め込みにするか、ビットマップにラスタライズしてグラフィック情報にしてしまいます。見栄えにはこだわりたいのです・・・

 


2009年04月25日  フラッシュとそのフォーマットの問題



かつて PCでのアニメーション動画はMacromedia社が牛耳るフォーマットでした。そのコンテンツを作るアプリケーションと言えば、言わずもがなDirector。それで作ったQuickTimeかShockwaveが定番の時代がありましたね。やがてFLASHが登場するまでは・・・ネットの普及が様々な状況を一変させました。

いまやShockwaveとFLASHの境界線は曖昧で、ほぼ同じ技術で論じられている?のではないかと感じます。だいたい、MacromediaはライバルのAdobeに買収・統合されてしまいまいた。Adobe社は競合のメーカーをどんどん取りこんで大きくなって来ましたが、そのおかげで乱立するフォーマットを整理統合できた経緯もあります。
動画フォーマットとして一時は業界を制覇したとも思えたのはQuicktimeでした。これはApple社の技術。対抗するMicrosoftはWindowsにそのプラグインを最初から乗せることを拒否してオプション扱いにしました。なので一般にはそれほど認知度が高いとは言えないようです。WMVフォーマットを独自路線で普及させましたからね。DivxやVIDXの話は事情がとても込み入るのであえて触れない・・・

っで、FLASHの話に戻りますが、私にはとても疑問に思うことがあります。その動画フォーマットにFLVとSWFがあります。どちらもWEB上にアップロード出来てブラウザー上で再生することが可能。なのにその再生環境には大きな差があって使い勝手に差が生じている?最早スタンダードな存在になったYOU TUBEはFLVフォーマットがベースです。この場合は、ビデオ動画(ビットマップ情報)をそのまま変換した単純な動画ファイルであるはず。シンプルな単一ファイルなのです。まず第一の問題が私が普段使っているAdobe AfterEffectのファイル書き出しフォーマットの中にFLVが無いこと。必然的にSWF形式になってしまう。次に・・・CMSアプリの中には標準でFLVフォーマットのアップロードに対応していないものがある。つまり制作環境においてはFLVでは無く、SWF形式が推奨されている訳です。様々な画像・音声データとスクリプトを組み合わせた統合体のSWFファイルは普通に扱えるのに シンプルなFLVは何故ダメなのかと思います。これさえ出来れば問題解決の一番の近道であります・・・

また、FLVからSWFへの変換は出来る?のに、逆は出来ないですよね!?これは何故でしょう。

私が何故にここにこだわるのかと言うと、iPhoneのSafariでYOU TUBE(FLV)は見れるのに、自分のサイト等を見ると埋め込んだSWF動画は再生不可状態になります。恐らくプラグインを追加すれば対応するのでしょうが、それではダメです。WindowsユーザーにQuicktimeプラグインをダウンロードしてくれと過去からずっと言ってきましたが、やってくれる人はごく一部しかおりませんでした。それと同じ状況かと思います。要するにCMS制作環境でSWFを埋め込めても、それを見てくれない人が少なからず発生するということ。これはWEB表現には大きなダメージを生じさせます。プラグインを初期搭載できないのはもしかしたら権利を持つメーカーのパテントの問題なのだろうか!?全く不便極まりないですね・・・

簡単なFLASHアニメーションであるならばFLVフォーマット書き出しで、それをそのままWEB上にアップロード出来ないと都合がよろしくないという話です。もしかしたら、私が無知で何かを足せばあっけなく解決するかも知れませんので、今は問題提起だけして引き続き解決策を探します(自分のHPにもその実験コーナーを設置しました)

そう言えばこのミクシのアップロード対応フォーマットもビットマップ系ばかりでFLASH(ベクター系)に対応していない。これはきっと携帯からのアクセスを重視した結果なのでしょうね?・・・

写真は試しに作ってみた蒼硝子のビルボード用SWFアニメーションの1コマ

 


2009年05月15日  写真素材の背景の差し替え



写真素材の背景を入れ替えるプロセスを載せることにします。急ぎの仕事では 作業を簡略化して効率的に進めなければならない。人物写真の場合、切り抜きが一番大変なのは「髪の毛」ですね。特にパーマがかかった女性の髪はその隙間を全てパス抜きするのは不可能!?でしょうね・・・

取材の段階から自分で担当できれば クロマキー抜きが出来るように、グリーンバックの背景紙で撮影して処理するのですが、他で用意されたデータの場合は注文が付けられません。地道に切り抜くしか無いでしょう。

髪の輪郭は、有る程度の塊を目安にPhotoshopのペンツールでアンカーポイントを打ち込んで行きます。細い数本単位の毛はパス抜きは無理なので 無視してカット。輪郭全体を大雑把に切り抜けたらレイヤー分けして、背景をすげ替えます。

そのままだと、髪の毛の隙間から以前の背景の色が残っているのが分かります。Photoshopのメニュー →イメージ →色調補正 →色の置き換え
で背景の色の部分だけ選択して、色相を新しい背景に近い色へスライドします。この手法には一つ問題があります。髪の毛にも以前の背景色から色被りした部分があるので、それを強制的に変換すると、輪郭がやせ細ってガビガビになってしまう。なのでそこをどうするか?と言うと・・・タブレットのペンを使ってラインを描き足して整えてしまいます。

写真をアップで使う場合には精度に問題が出ますし、もしヘアカタログのジャンルだと虚偽になるのでNGでしょう。細部に目がいかない程度の尺度であれば、一見自然な仕上がりに見えます。割り切った画像処理であります・・・

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2009年08月19日  古いデータの使い回しのコツ



普段デジタルデータで写真を扱っていることもあり、私のPCのハードディスク内にはかなりの数の写真画像が溜まっています。時折古い素材を使う必要性もあって、懐かしいフォルダーをつついて素材を引っ張り出してくることもある・・・その時に、ちょっとした苦労があったりします。

それはデータに貼られているアイコン情報について・・・古いバージョンのOS時代ではアイコンは32×32ドット(pixel)程度の粗い作りでした。デジカメのメモリーからパソコン本体にデータを吸い出す時に、自動的にアイコン情報も付加されます。Macintoshでは、写真ならその画像の縮小サイズがそのままアイコンになります。実際は48×32ドット相当の画像がフォルダー画面に並びます。当時はアイコンを拡大して見るという発想自体がなかったので問題はありませんでした。

ところが・・・OSが16bitから32bit対応に進化した頃から、グラフィックボードの性能アップと相まって、アイコン画像も精細化が進みました。結果128×128ドット以上の巨大なアイコン情報付加が可能に。普段は小さく表示していますが、必要に応じてサイズを変更できます。現在のMacOS Xでは、ファインダー上でアイコン自体を拡大して、ファイル内容を即座に確認する使い方をしています。わざわざソフトを起動したり、一枚ずつプレビューしたりしなくても済むのです。実は・・・現在はアイコン情報が貼ってなくても大丈夫。OSの機能で、アイコンプレビュー状態を表示することも可能になりました。ですが、そうするとかえって問題が発生することが出て来ます。

それは・・・むかしの32ドットレベルのアイコン情報が データに付加されてしまっている場合、その粗い情報をそのまま拡大して表示してしまう症状が出ます(画像 上)低解像度の余計なものが付いているのでそれをわざわざ使ってしまうのです。なので、古いデータのアイコン情報は全部はぎ取って捨ててしまわなければなりません。方法は簡単です。画像データをまとめて選択し「メニューのファイル→データの情報を見る」(Windowsではプロパティかな?)で情報表示をします。そこの左上にあるアイコンのマークを選択し、デリートボタンを押すと、貼られたアイコン情報は消滅します。次に「メニューの表示→表示オプションの表示」コマンドで「アイコンプレビューを表示」のチェックを入れるとフォルダー毎にアイコン表示状態になります(画像 下)

やり方は簡単なのですが、フォルダーの数が多いと、この作業はけっこうな手間になりますね。ここ数日、数百個のフォルダー内の古いアイコン情報を削除して一気に精細化しました。これで以後の一覧表示での識別が楽になります。ささいな事ですが、直感的にデータを判別する必要性はとても大きく、ファイル名の検索だけでは対応しきれないのも事実であります・・・

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2009年09月23日  RGB環境で印刷物を作る上での注意



ここ近年・・・私のパソコンでのデザインワークと言えば、ビデオかウェブ向けの素材作りが続いていました。最近また印刷用途の版下などをやる機会が増えてきました。すると、以前より懸案になっていた問題に また向かい合わないとならなくなります。それは・・・CMYKモードを意識すること。

RGBは光の三原色で加法混色。通常パソコン上で作業している時はこのモード。ところがプリンターで印刷する時は、CMYKであるインクの混色(減法混色)に変換しないとプリントできない。家庭用プリンターではシステムにインストールされているドライバーが、絶妙なる仕事をしてくれるので、大変高いレベルでの色彩表現を可能にしてくれます。大量生産している機器だからこその強み。ところが、業務用印刷機を使って出力サービスしてくれるプロの業者には、データを渡す前段階でCMYKモードにしておかなければなりません。これは問答無用のならわし・・・業界標準の仕様というもの。

フォトショップなどでRGB→CMYK変換をした事がある人は知っていると思いますけれど、彩度の高い色相や紫〜ピンク・黄緑などはかなりくすんだイメージに変化してしまいます。光よりインクの混色の方が 表現できる色域が狭いために起こる現象です。ペイントツールには真の変換能力は備わっていない・・・一度変化してしまった色味のCMYKデータはそのままのイメージでプリント出力される。家庭用プリンターで可能だった鮮やかな印刷が、業務用では上手く表現出来ません。この状況は、この15年程の間あまり変化が無い様に感じます。対処法としては、家庭用プリンターで出力したものを色見本として付けるなどしますが、あまり解決の足しになりません。CMYK以外の「特色」を足して印刷する方法はありますが、コストが一気に跳ね上がります。最も頼りになるのが、印刷所のオペレーターの方にレベルの高い調整をしてもらうこと。しかしながら、条件に制限のある中でそれに気軽に応じてもらうのはとても難しいのです。基本的に、印刷所は受け取ったデータを規定に従って出力するのみ・・・

ちなみに・・・イラストレーターデータはCMYKに分版できるので、色出力の調整がやりやすい。難しいのがフォトショップなどのビットマップデータ。そのRGBデータは結局CMYK化しなければならない・・・
最近では、ごく一部の最新型機を導入した印刷所で、やっとRGB入稿が出来るところが現れ始めています。当面の望みは、そういう特別なケースが一般的になってくることでしょう。そうすれば、印刷時の発色の問題を気にしないで作業できる時代になると思います。

先日 自治体の中で活動している ある団体のロゴマークのデザインコンペに参加しました。構図を考える上でいくつかの条件があったので、ああでも無いこうでも無いといくつかパターンを作りました。結果は・・・私の案が採用になったみたいです(画像 上)デザインワークは自分の作業が具現化するかどうかで報われますので、めでたく万々歳でありますね(笑)関係者一同に感謝!
ただ・・・イメージ優先で作業をしたために、彩度の高い配色でレイアウトを進めました。CMYK変換するとそれなりに色調が変化します(画像 中)フォトショップのカラーピッカー(画像 下)では、赤丸の印が出る色相は印刷の再現色域外。これは警告マークなのです。でもこれが出ない領域で作業すると、実に地味な大人しい配色のものしか作れません。

結論として・・・フォトショップで作ったビットマップデータはウェブ用。印刷用はイラストレーターで作り直す必要がある訳です・・・

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2009年09月28日  ブラウザーによる表示の問題点


以前、ホームページを表示するブラウザー環境について考察を述べました。
Computer 欄 2008.6/23 「第三の狐 降臨!」

同じ記事を「Safari 3.1」「FireFox 3」「Internet Exploere 7」で表示した場合のレイアウトの差を比較しました。私は普段Macintosh OS X環境でSafariをメインブラウザーに指定しています。その際、表示フォントをヒラギノ丸ゴシックに指定しています。FireFox環境でもヒラギノ丸ゴシックを指定(それは私個人の好みです)その二つのブラウザーでは、フォントのボールド(太さ)や級数(サイズ)が若干変化する程度で、おおまかなレイアウトは同じイメージで見えました。一方のWindows環境下でのInternetExploere7については あえて環境設定をいじらず、素のままで表示しています(Web表示用フォントが少ないので、あまり変更できない仕様ですが)それは何故か?と言うと、世間一般の大多数のユーザーが、環境設定をいじって見やすい状態でネットを見ているとは限らない為。望ましくなくても「世間の標準」環境でどう見えるのか?を確認しておきたいということ。

BiND for WebLiFEのVer.1→2へ移行する時に、アプリケーションの仕様でレイアウトが変化した時に、割り切ってホームページ本文の一部デザイン設定を変えました。
上How to 欄 2008.9/23 「レイアウトのこだわり」

そして後で本文のフォントのサイズを一回り大きくしました。何故か?と言うとアプリの「標準サイズ」指定では視力の程度によっては 少々見づらいサイズであると感じていた為です。今回、Ver.2→3にはあっさり乗り替えてしまいました。アプリ側での設定は特に凝ったものでは無く、少しメリハリをつけた程度。フォントが置き換わっても大きな問題が無いようにシンプルにしています。旧データをそのまま使いましたが、それによって、InternetExploere7での見え方に改善が見られるかどうかが 気になる所でした。

結果はご覧の様な状況です。Safariは最近3から4にバージョンアップしています。コラムの枠線の内側で切り取ってあります(判別の為に枠線とアイコンをペースト)
「Safari 4」(上から1番目)ではヒラギノ丸ゴシックでサイズは18。私が意図した幅で文字を改行し、幅を統一するイメージでレイアウトした欄を選んでサンプル表示。改行は毎回している訳ではありませんが、短い文章を箇条書きする事があります。そのパターンの表示確認用です。若干表示サイズを大きくする余裕をみて右側に余白があります。「FireFox 3」(上から2番目)ではヒラギノ丸ゴシックでサイズは16なのにもかかわらず、文字表示は「Safari 4」より大きめで枠目一杯に・・・こういう表示の不一致は原因がわかりません。もっと大きな問題は、Windows XP環境下における「Internet Exploere 7」(上から3番目)。インストールした時のデフォルト設定のままです。文字は異様にデカくなり、改行が仇となって見苦しい切れかたをしている。そして問題は、中揃えの行間になってしまっている事です。これは非道いです!何故でしょうか?これでは 文字を読みやすい様に大きめにした事がマイナスになっておりますね。改行の問題は、元のコメントレイアウトから改行設定をとるしかありませんが、中揃えになってしまうのは対処の方法が分かりません(アプリケーション作成時では左頭揃え設定にしております)ブラウザーのデフォルト設定を直すことで解決するならばそれではダメでしょう。繰り返し言いますが、世間一般の人の多くはパソコンの環境設定に詳しいとは限らないのだから。彼らにいちいち設定を変えて見てくれとは言えません。

ブラウザーの表示の互換性に関して今回の検証サンプルから見ると、BiND for WebLiFE 3では、Ver.2の状況から大きな変化は無さそうです?とりあえずの対処として、自分のコメントから改行処理を出来るだけ無くすことと(上から4番目)時間をかけて少しずつ修正していかねば。

他に出来ることは、一行で済ます場合の文字数をシビアに調節する配慮・・・レイアウトを少しでもマシに見せる為には必要なことでしょう。QuarkXPressなどのDTPソフトでは、コラム欄にテキストを流し込みで配置しますが、行の変わり目で言葉が適当に途切れてしまうのが美しくなくて嫌です。だから、必要に応じて改行してしまうのです・・・機械的な処理はダメですね。ああ、これは昔エディトリアルデザインの授業で散々言われていた台詞だ。自分で言うようになってしまった(苦笑)

ブラウザーへの対応は填るとほんとにド壷です。一番悪いのはマイクロ○フトでしょうね。Ver.8も別のトラブルが有るらしいし、IEは無くなって欲しい・・・後はソフトのメーカーのテクニカルサポート欄も一度調べてみて、他に対応策が存在するかどうか検討してみます。

追記(一応・・・IE7での表示改善策)
「InternetExploere7」でのWeb表示フォントの環境設定は、メニューバーの「ページ」設定内にある「文字のサイズ」設定だけでは変わらない事があります。その右側にある「ツール」設定の「インターネットオプション」の中をいじらなければなりません。
「インターネットオプション」→「ユーザー補助」→「書式設定」
 その中の次の3つにチェックを入れてOKを押します(下の二つだけでもOK)
□Webページで指定された色を使用しない
□Webページで指定されたフォントスタイルを使用しない
□Webページで指定されたフォントサイズを使用しない
 これをやらないと「BiND for WebLiFE 2」以降のエディタで指定した文字の雰囲気がかなり変化してしまうみたいです(設定にある日本語が矛盾しているのはご愛敬?)一般の人がはたしてこれにどのくらい気付くでしょうか???枠内のコメントが中揃えになってしまう問題はまだ未解決です・・・

BiND側での改行指定を外し、IE7の設定を変えて表示をマシにしたものが5番目です。

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2009年09月29日  XPでメイリオフォントを使う


前回の記事からのつづき・・・

Windowsシステムの最大のメリットはマジョリティであり、互換性であるはず。ところが、その互換性重視が足かせとなって、潜在的なクォリティアップを阻害している・・・目に見える大きな問題は、システムフォントの貧弱さです。MSゴシックとMS明朝は、どのWindows OSにも標準で入っている書体なので、これを使っている限り、文字化けやレイアウトの崩れは無いだろうとされている・・・でも、世間ではそれ以外に美しい書体がどんどん使われるようになっている。書体の美しさというと「それに意味があるのか!?」と突っ込む人は割と多い。もの凄く違う!と言いたい!デザインに少しでも関わっている者ならば、感覚的にそれは意識に入ってきます。分かりやすく言えば、日本の明治大正時代の文献や看板なんかを見てみると一目瞭然。すぐに「書体が古い!」と心が感じるだろうし、それを特別な意図無しに自分の作品に使うことはしないでしょう?

MSゴシックとMS明朝ももうそういう領域のクォリティかと私は思います。既に賞味期限は切れているのだ。だから、Windows Vistaでは思い切って、システムフォントに「メイリオ」というClearTypeフォントを採用しました。これは輪郭情報にアンチエイリアス処理をかけてなめらかに表示できるもの。要するに綺麗なのです。MacOS Xのシステムフォントであるヒラギノにも対抗しうるものとして作られたらしい。実際には縦と横のラインのバランスが若干悪い?と感じるのですが、従来のMSゴシックなどに比べれば雲泥の差です。単体で買うと高い商品でもあります。

Windows XPにはこの「メイリオ」がインストールされていませんけれど、マイクロソフトが無償でダウンロードして使える認可を出しました。まぁコレには裏がある様ですけれど(後述)・・・まずはWindows XP環境下のブラウザーで、以下の作業をします。

→メイリオフォントをダウンロード。指定のサイトでメイリオフォントを無償でダウンロードできます(2009.9/30現在)
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=f7d758d2-46ff-4c55-92f2-69ae834ac928&DisplayLang=ja

※このダウンロードを行う際に、使用OSが正規ユーザーであるかどうかを確認する探りが入ります。つまりタダで良いものを提供する代わりに、コレで海賊版OSの特定を計っているのだ!?違法なユーザーには、OSをシャットダウンして起動出来なくなる特別なプレゼント(プログラムコード)が注入される可能性有り。賢い手であります。今後このやり方はメジャーになるでしょうね・・・

具体的なインストールと設定のやり方は、ちょっと長くなりますので、Google検索サイトなどで「WindowsXP メイリオ インストール」で検索してみて下さい・・・

Web表示フォントにメイリオを指定すると、今までの貧弱なフォントには戻れなくなるかと思います。Vistaの表示が高品位であるのは、このフォントの恩恵でしょうね。ちなみにMacOSが出版デザイン業界で贔屓にされるのは、昔からフォント環境が充実していた事がひとつの理由。特にヒラギノが出てからは、本当にWeb系レイアウトの質が上がりましたから・・・

Internet Explorer 7のWeb表示フォントを切り替える方法は、メニューバーにある歯車のアイコン「ツール」の中の「インターネットオプション」→「フォント」→「Web表示フォント」の設定で切り替えます。

昨日からコメントを書いているうちに、志向する方向性が変化しました。当たり障りの無いレイアウトに落とし込むのと同時に、ブラウザーの設定のコツを書いて広めるのも有りだと。だいたい自分のHPを見ている人はまだ限られているのだから、その範囲で伝えられるメリットは言っておこう・・・と言うことですね。

イメージ 一番目 Internet Explorer 7 デフォルト状態での表示 
イメージ 二番目  〃 インターネットオプションの設定済(昨日の記事より)
イメージ 三番目  〃   〃   更に書体にメイリオを指定したもの
(外側の枠線とIEのアイコンは貼り込みしてあります)

表示環境の設定だけで、これだけ見え方が変化する訳ですね・・・

蛇足までに・・・
MacOS X(Macintosh)ではノータッチの状態で一番右と同等の環境になっています。Windowsは自分で追い込まないとベストな状況にならない!?能力をちゃんと持っているのに、使いこなさないと快適にならないのが厳しく難しい。だから・・・私はPCに詳しくない人にほどMacintoshをお勧めしているのです(Windows 7が出て来たらまた状況が変わるかどうか?)

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2009年09月30日  グーグルクロームの問題点


昨日からブラウザーによってWeb表示にどの程度差があるか検証しています。そして・・・InternetExplorer7については、デフォルト(初期設定)の状態と、ClearTypeフォントの「メイリオ」を利用してカスタマイズした場合の差を比較しました。あと一つ、最近注目を集めているブラウザーがあるので、それも比較の為に試しておきます・・・

グーグルクロームはその名の通り、グーグルが野心をもってPC環境へ投入したWebブラウザー。売りは表示の速さ!のはずでした。同時期に 最速をうたうSafari 4が出て来て大差は無くなりました。この業界の変化はほんとに抜きつ抜かれつの繰り返しです・・・

Windows XPにグーグルクロームをインストールしてみました。発表時より多少時間がたっているので、細かなバグのいくつかは解消されているでしょう?PR通りページの読み込みスピードはSafari4と同じ位かな・・・PCに積んでいる物理メモリーの環境によっても変わることでしょう。

ブラウザーとしての機能は基本プラスαでシンプルであり、使いやすいです。これをわざわざダウンロードして使う人は、環境設定をいじる位するだろうから、表示フォントの設定も試してみました。その設定は・・・
1.メニューバー右上のスパナの形をしたボタンを押して
2.オプションメニューを開く
3.「高度な設定」のタブから入り、項目の下の方の「フォントや言語を変更」
4.フォントと言語の設定メニューから目的のフォントを選ぶ

以上で表示フォントの設定は完了するはずです。ところが・・・画面は全く変化しませんでした(上から一番目)・・・あれこれ他の所をみても、このブラウザーは設定箇所が少なく、方法が見つかりません。仕方がないので、ネットで関連事例が出ていないかどうか?調べて見たところ、なんと「グーグルクロームはClearTypeフォント」を指定出来ない!みたいです。とほほ・・・クォリティを比較する為にヒラギノ丸ゴシック表示の、MacOS X上でのSafari 4を載せておきます(上から三番目)同じ記事がこれだけ見え方が違うのです・・・

デフォルトの状態では、Internet Explorer 7より少しマシな程度で、あまりお勧めではないですね。書体の選択肢が狭いのは痛い。まだ発展途上な感じがします・・・

追記情報

先日のWindows XPに「メイリオ」をインストールした後に、一つ注意しなければならないのは、OSのコントロールパネルにある「設定」をONにしておかねば効果が充分に出ない事がありますので追記しておきます(Web表示以外で)

「コントロールパネル」
 →「画面」
  →「デザイン」
   →「次の方法でスクリーンフォントの縁を滑らかにする」
    →「標準→ClearTypeにしてOK」

繰り返し言いますが、WindowsOSの設定は面倒くさいし分かりづらい!こんな枝葉の様な設定はすぐには分からないなー!(怒)

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2009年10月16日  ほおずきで素材づくり・・・


今年は庭の片隅にほおずきが増殖して大漁なのです。元々は5年前に縁日で買ってきたほおずきの鉢から移植したものが、どんどん増えて数十本になったもの。毎年実を放ったらかしにしていて、ちゃんと写真も撮っていなかったので、今年は撮ろうと思っていたのですが・・・ご存じの様に、今夏は気温が低くて日照量がたりない夏でした。ほおずきの赤い袋はあまり綺麗な色では無かった・・・

秋になって袋の筋だけ残り、中の実が見えるようになりましたけれど、やはり今ひとつ綺麗ではありません。被写体としては不作の年です。でも、また一年待つのはちょっとしんどいので、良さそうな実を選んで撮りました。

例によってクロマキー用の緑のスティンガー背景紙をつかって、ROBUSKEYで一発抜きをします(左)この細かい隙間を全部パス抜きしたら死にますからね(笑)アップで見るとシミが多い個体なので、ちょっと納得いきませんがとりあえずアップしておきます。

→クロマキー合成ソフトウエア ROBUSKEY
http://www.isp.co.jp/products/robuskey/top.html

実物のほおずきの出来が今ひとつですけど・・・一応グラフィック処理もしてイラスト化してみました(右)写真との差はわずかです。ワンポイントものとして使えるかな?こんな感じのフリー素材を作り溜めていこうかと考えています。使ってくれる人がいたらうれしいですね・・・

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2010年02月07日  新型iMacのキャリブレーション


新しいiMacにはちょっと問題があるのが分かりましたので、そのレポートを…

最近のパソコンのディスプレイはLEDをバックライトにして、高輝度と高コントラストの表示を可能にしています。一般にはその方が画質が良いとされているみたいですが、長時間見ているとちょっと疲れる感じがします。従来の液晶モニターはTFTと呼ばれる蛍光管を使っています…今回双方を比較できる環境になったので、その違いを観察。すると予想していた以上に表示の質に違いがありますね。

今度のiMacのLEDディスプレイはとにかく青い!なんで初期設定がこんなにシアン寄りに設定してあるのか不思議に思う。テキスト入力時の白い背景が完全に青白い。問題となるのは…見え方が違うのだから、画像処理の結果も当然違ってきてしまうこと。それではまずいでしょう…解決方法としてはモニターのキャリブレーション(調整)を行って、客観的に見える画質を統一しバランスをとること。

それにはシステム環境設定(コントロールパネル)のディスプレイ項目を調整。すると…次の二つの項目がどうも従来と違っておりました。一つは白の基準値を決めるホワイトポイントの値。デジタルカメラのホワイトバランスにあたるものです。私の場合、通常 初期設定値をD65(6500゜K)にしていますが、同じにするとやはり青っぽい。ホワイトポイントとは絶対値では無かったのでしょうか?個体ごとに見え方が変わるのでは基準になりませんよね。仕方がないので自分の目で見た感覚で値を下げ6000゜Kに調整。次に問題なのがガンマ値。これはコントラストはじめ色の濃度が変わる部分。過去にも書きましたが、Macintoshは本来1.8、Windowsは2.2が基準値。なので、そもそもコントラストが食い違います。だからMacintoshで調整したグラフィックがWindows環境では印象が違ってしまうワケです。今度のiMacではその初期設定値がなんと2.1辺りにセッティングしてありました。そこは普段の自分の感覚からするとやや階調が硬い雰囲気に。でも、今回思うところあって双方の中間値の2.0に設定。

正直なところ、どのように調整しても、TFTとLEDのディスプレイの画質は同じにはなりません!?それは、ブラウン管と液晶モニターの違いほどではありませんけれど、かなり違うのは確かです。そして、買ってきた状態の初期設定値では、やはりそのままでは使えないと感じました。メーカーがなぜそういう判断をしているのかはちょっと理解できませんね。もし、私の個体だけの問題でしたらそれは論外なはなしに・・・

現状ではiMac環境で作成した画像データは、旧システム上で表示してみて再確認が必要です。とても面倒くさいので、こだわるのであれば 更にキャリブレーションを詰めるために、専用キャリブレーター(調整機器)を使う必要がありそうです…

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2010年02月07日 Photoshopの新規インストール時の注意事項


前のコメントでディスプレイのキャリブレーションについて述べたので、そのついでにもうひとつ。グラフィック制作や写真のレタッチ〜デザイン関係者に利用が多いPhotoshopについて。今回MacOS X( SnowLeopard )環境下にてCS4をインストールした所、これまた初期設定値に不可思議な状況を確認しましたのでコメントを追加。

通常の新規インストールを行ったところ、色の表示をコントロールする重要な設定がノーマルでは無い状態になっていたのです。ここは知らないと普通気がつかないでしょう・・・

メニューバー →編集 →カラー設定

ここには起動したPhotoshop上で画像情報を扱う時に、どういうカラースペース(色空間)で色域のコントロールを行うかを指定する場所。通常は、ほとんどのPCとアプリケーションがサポートしている「s-RGBカラープロファイル」が標準値。(→Windowsの基準値)印刷時におけるCMYKモードでの表示領域とは違った再現性になっている。つまり、今見ているパソコンの画面では、印刷時に再現される状態を確認できていないということ。ビビットな彩度の高い色味などは、正規の印刷に反映されない可能性があります(家庭用のインクジェットプリンターは除く)

カラープロファイルについては話が込み入るのであえて省略。意図的に変更する必要が無ければs-RGB固定で、理解せずに放ったらかしにしておいても良し。

また一般のディスプレイモニターは、物理的にs-RGBの表現範囲を超える色域の再現が出来ない。一部の色相については、微妙な色のグラデーションを全て一色のべったりした色として表示してしまいます。例えば赤紫と藤色の中間値や黄緑とショッキングイエローの差は正確に分離出来ていない可能性がある・・・そこで、意図的に彩度を下げて微妙な濃淡の差を少しでも確認可能にする。そのための機能が「モニター色域外のカラーを表示」コマンドであるらしい。上記で触れた「カラー設定」の中にありますが、普段隠れている為「詳細オプション」を選択しないと現れません。そこにある「高度なコントロール」の枠内にチェック項目があります。

要は・・・この通常使わない「高度なコントロール」項目が、通常インストールした状態で「チェック状態」になっていたこと。しかも彩度がいきなり「21%」のとても低い値になっていました。これはおかしい!?実は過去にも一度遭遇した事があるので、今回はすぐに気がついて設定を変更できました。気がつかないと、自分のPCで開いた画像全てがみな色の浅い画像に見えてしまい、その状況で彩度を上げるとダメですね。そのまま他の人に渡すとどぎついコテコテの色のデータになっています。

必要があるからわざわざ「高度なコントロール」という隠された設定スイッチになっている訳で、そこが何でオンになってしまうんでしょう。原因がわからないので、他のアプリケーションについてもよく調べてみないと危ないですね・・・

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2010年04月25日 ああ、これがユビキタスなのね


ユビキタスはもう何年も前から耳にしているキーワードでしょう。でも、それが具体的に何なのかは意外と分からない。IT社会が発達した先に「コンピューターシステムを意識させないインターフェースで生活が便利になる」とパソコン雑誌で読んだ覚えがある程度です。つまりそれって昔から言われている「ヒューマンインターフェース」の事なのか?言い回しが変わっただけなんじゃないだろうか?今一つ私にはつかみ所が感じられない。

Wikipediaでの解説を読んでみますと、説明の引き合いに「神の遍在」という宗教用語を引っ張り出しています。それは、人間の生活を便利にするサービスを「神の意志」のごとき存在に例え、社会の裏側に発達したコンピューターシステムが張り巡らされた未来図を描いている。これまでに色々な考え方を経由しているので、電脳化やネットワーク社会なんかの話もチラホラ見え隠れしている。それって士郎正宗氏の「APPLE SEED」のメガロポリス オリンポスの様な都市を指しているかな。生活のどの場所にもサービスを支えるシステム(神の意志)が自然に存在している状態なのでしょう。便利さが空気のように当たり前にそこに在るのです。

何かあまりにも楽になりそうで、人間がダメになるんじゃなかろうか?と心配してしまう。1960年頃のアメリカのSF小説には、文明が発達して人の生きる力が低下していく話が多くありました。それを思い起こします。

話が横道に逸れました・・・
何でユビキタスの話を出したかと言うと、ちょうど今、クラウドサービスの本を読んでいる所なのです。パソコンの中にアプリやデータを貯めるやり方は従来の発想。ネットワーク上のサーバーにシステムを置いて、データも仮想空間にレンタルルームの様に設置する。必要に応じて色々なデバイスからアクセスして利用する。そんなネットワークサービスの話です。アメリカでは数年前から近似のサービスを始めるベンチャー企業がどんどん出来ている。そしてそのサービスの一種が日本でもこの1年位の間に一気に広がりを見せつつあるそうです。

かなり難しい言い方をしてしまいましたが、携帯電話で取った写メを家のパソコンに自動で送って保存するのも、クラウドサービスの発想から来たものと言えそう。iPodの楽曲を複数のPCやプレイヤーで iTunes上で共有するのも同様ですね。これからはそのデータの種類は問わなくなり、更に検索機能や使い回しの自由度が上がる。家のPCで作ったエクセルの書類を携帯で呼び出して、そこにテキストや写真を付加して、即相手に送るなんて事が楽々出来るそうです。近いことがもう今すぐ可能なのだということで、ちょっと試しにあるサービスを使ってみます。

Evernote(エバーノート)
http://evernote.blog67.fc2.com/blog-entry-8.html

最初 他社のクラウドサービスを検討していましたが、有償での年間の維持費がけっこうかかるので見送りました。エバーノートは一月40MBまでは無料で使えるので選択肢に。もちろんWindowsやAndroid携帯も全て同期可能とのこと。そして必要が高まれば高機能の有料コースに移行できます。まだ詳細は始めたばかりなので、今日はスタートの報告までに書きました。もし素晴らしいサービスであると感じたならレポートを続けます。果たして本当に良いものなのかどうか?家のMacとiPhoneを同期させての運用開始です。ちなみに来月コレにiPadを加えたいと画策しています。そちらが本命だったりする・・・

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2010年07月16日  水没風景シミュレーション


地球温暖化を警鐘する「Beautiful islands」という映画がこの夏公開予定です。内容は沈みゆく南太平洋のツバル・イタリアのベネチア・アラスカのシシマレフ島のドキュメンタリー。この映画をPRするためのiPhoneアプリが出ました。

「水没カメラ」という変わった撮影アプリ。このアプリを通して撮影すると、街が水没した写真が撮れます!水位が上昇して自分たちの大事な暮らしが水の中に沈んでしまったらどうでしょうか?というイメージを作成するソフトなのですね。発想が面白い。言葉であれこれ理屈を説明するよりも、視覚的イメージに訴えた方が印象が強まります。ざぶとん一枚!!

実際に撮影してみると、ほとんど調整パラメータが無いので画質をコントロールすることが出来ません。とにかく目の前の風景をパチリと撮ると画面下1/3位で水面になります。建物を正対位置で撮った方が結果がよろしいようです。

ただ・・・このアプリで撮る(iPhone4の場合)と解像度が480×320pixelであまり画質がよろしくありません(画像 左)そこで・・・自分でシミュレーションして作ってみました(画像 右)
1.喫水線の位置で画面を折り返してコピーし、別レイヤーに複製を作る
2.水面に映った部分にあたる画像を少しボカシて波紋フィルターをかける
3.レイヤーマスクをかけて、透明度を少し落とす

出来はまだ今一つですが、発想が面白いのでまた良い風景に出会ったら作ってみようと思います(水没させたいというのは発想が逆ですけど 苦笑) ・・・このコメントはDigitalContents欄に載せようか迷いましたが、一応テクニカルな要素があるのでこちらへ回しました。

「水没カメラ」は無償アプリなのでiPhoneをお持ちの方は是非試してみてはいかがでしょうか。AppStoreで同名でぐぐればすぐに見つかると思います。

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2010年09月17日  BiND for WebLiFE 4


私がプログラムやWEB言語の音痴でHTMLのいろはも満足に使いこなせないのは、かねてより白状している事実です。それでも何とか自分のHPをこつこつ構築してこれたのは「BiND FOR WEBLiFE」というアプリケーションに出会ったからです。これはホームページビルダーの類に近いモノと思われるのですが、使ってみるとかなり違う趣きを感じます。

それは・・・作ろう・デザインしようという意識が生きるソフトだからです。ある意味直感的な操作性でもあり、時には論理的な作業の進め方を無視しても、デザインが可能であると思われる・・・他に比較できるソフトが果たして存在しているのかとも感じてしまうほど。Ver.1は多少動作に怪しい所もありましたが、その後Ver.2→3→3.5とバージョンアップして、どんどん使い易くなった経緯があります。

そのVer.4が今日発売され、事前に予約していたパッケージが宅急便で届きました。先ほどインストール作業を無事に終えました。以前のバージョンで作ったデータを引き継いで編集出来るのは大変有難いし、新しい機能を付加していけるのが楽しみであります。順次レポートしていきます。

写真:パッケージには文房具のおまけが入っていました。こういう遊び心がこのメーカーの意識の余裕みたいなものを感じさせてくれます。私はこういうのが好きです。

デジタルステージのBiND紹介サイト
http://www.digitalstage.jp/bind/index.html

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2010年11月08日  フィルム時代に出来なかったこと


ほんの10年前までは、私も写真はフィルムで撮っていたのです。それが、気がつくとシステム全体がフルデジタルに移行完了。っと言っても、それはすんなり置き換える事が出来たわけではありませんでした。私はデジタル推進派の最右翼として、積極的に新システムを導入しましたけれど、周囲からの反発や不信感を払拭するのにかなりの労力を必要としました。最初はフィルム撮影の合間にデジタルをはさんで、比較サンプルを作ることが必要だった。それは忘れもしない西暦2000年に買ったNikon D1からの事でした。当時は一眼レフタイプのデジカメは大変高価で、普及率も数%もなかったはず。新しいモノに挑戦すると同時に冒険でもありました。今から思えばちょっと信じられない様な環境だったと思います。その後、運良く女性雑誌のブティック取材の仕事で、デジタルでの撮影を許可してもらった経緯があり、それが私にとって大きな転機になったのでした・・・

フィルムでは、撮影対象物の背景を切り抜き処理する場合、マスクと呼ばれるものを外部の専門業者に作ってもらう必要がありました。一枚マスクを作るのに数千円かかるのが当たり前だった・・・それならば撮影段階で背景処理をする必要性が高くなる。その手間はほんとに大変なことだったのです。物撮りのセッティングなどは1枚撮るのに軽く数時間を要しました。

それが今では・・・デジタル処理で切り抜きが出来る様になり、状況は大きく変わった。一般的なのはPhotoshopでパスを作り、クリッピングパスを設定すれば簡単に背景を除けます。でもでも・・・パスの切り抜きはやはりと言うか、けっこう大変なのですね。経験のある人ならばその苦労は理解してもらえる事でしょう。切り抜きをマスターするには、パスの打ち込みを1000枚もやればよろしいんじゃ無いかという話があります。望んだ訳ではないですが、私はそのノルマはクリアしていると思います(苦笑)

正直なところを言いますが・・・最近では面倒なパスの打ち込みは、採算が合わなくなりつつある。それだけ世間様のコストが落ちてきています(汗)ケースバイケースであると前置きして、パスによる切り抜きをしなくてもOKな方法論も模索せざるを得ない。なのでそういう撮影方法を検証することは大変大事です。そこでクロマキー処理・・・

複雑な造形物や、特に細かい髪の毛が存在する人物ポートレイト写真の場合には大変重宝します。女性のカールのかかった髪の毛などは、パスで切り抜くことは事実上不可能です(7~8年前には果敢に挑戦してましたけど)だから・・・ポスターに使う様な人物撮影では、積極的にクロマキー処理を前提とした撮影方法を取っています。

ほんとうに今は技術的には有難い良い時代になりました。
後は・・・景気がもうちょっと良くなってくれれば言うことはありません・・・

写真は、今日のクロマキー撮影でのセッティング
(♯54スティンガー背景紙を使用)

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2010年11月13日  撮影結果の善し悪しは照明次第


昔 テレビ局のクルーもしていたカメラマンの先輩に、時々釘を刺されていた教えがありました。「良い絵を撮りたかったら照明さんと絶対に仲良くしろ!」やんわりとでは無く、かなり強く念を押されたのを覚えています。その時私は下っ端のADでした。

それは・・・スタジオで色々な撮影に関わっているうちに、至極最もな常識にも思える様になったこと。被写体が綺麗に見えるのは、全て光りの当たり具合で決まってしまうのです。だから、そのさじ加減をコントロールしている照明スタッフとの「あうんの呼吸が絶対不可欠」なのは言うまでも無い事でした。しかしながら、そういう仕事上の環境は景気の良い時代の話で、その後大人数のスタッフでプロモーションビデオを作る機会は、どんどん減って行った。いつの間にか私も自営で個人制作するフリーになっていたりする・・・

まぁ大事な事は、どんな状況の撮影であっても、その場の明かりの状態をよりベスト~或いはベターな状態にすればいいのかの話だという事です。有る部分は理論であり、また理屈通り行かないケースでの対処の仕方は実地で学んだ知恵かと思われる・・・ちょっと偉そうに言い過ぎかな(苦笑)

ビデオ撮影では、カットの繋ぎ具合で流れを作れますから、ある程度対応策が存在しなくもない。でも、スチル撮影では、舞台の上の照明の善し悪しにストレートに影響を受けてしまう事が多い。主要な被写体にしっかり光りが当たっていないと、元気の無い沈んだショットになってしまう恐れあり。多少は露出のコントロールで切り抜けますが、万全ではないし・・・

今日のピアノ発表会のコンサートホールは、天井固定の三連スポットと側面からのものが二組ずつあり、あとは舞台後方の二階より大型のビームの二本のセッティング(ヤマトの波動砲みたいな奴)自分で調整が出来るのは後者のみです。リハーサルの時にこういう機材のセッティングを怠ると、結果は言わずもがな・・・とても大事なことなのでありますね。

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2010年11月21日  ILLUST STUDIOという選択肢


PhotoshopとIllustratorの両方を使ってグラフィックワークをした人なら分かるはず。ビットマップデータとベクターデータの違いがいかに大きいかを。どちらの画像形式にもメリットとデメリットがあります。そのうちに、両方のデータを融合した使い易い形式は作る事ができないのか?と・・・

その答えはかなり前より存在していました。ビットマップの画像処理のしやすさと、ベクターの解像度フリーの両方の長所を併せ持ったグラフィックフォーマットがあるのです。独自のCPGやLWO、OBJなどの特徴あるデータ形式。その上で、Photoshopにデータを受け渡す互換性も有している。大変注目に値するグラフィックソフト。それがセルシス社のILLUST STUDIO。

問題は、WindowsOS対応版のみでMacOS X対応版は発売予定はあるものの、いまだ何時出るのか不明な点。セルシス社は、年内にMac版を出すと言っていましたが、どうやらそれは来春に延期される模様。期待していたのにあと一シーズンなんて待てるか!・・・と言うことで、今日Windows版を買ってきてしまいました。面白いのは、12ヶ月限定ライセンスというパッケージが用意されている事です。巷によくある1ヶ月無料のトライアル版を1年に延長した仕様なのでしょう。価格も爆安の2千円台です。とてもありがたい!

iMacにインストールしてあるWindows7にインストールして使って見ます。来春まで使ってみて、その後Mac版に乗り換えればいいやという目論み。忙しさが一段落ついたら、またイラストに目を向けてみたいのです・・・

追記:先ほどWindows7にILLUST STUDIOをインストール完了。IntelMac上でちゃんと起動動作しました。あとはタブレットを繋いで作業環境が整います。

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2011年04月27日  #54スティンガー背景紙


これまで時折話題にしてきたクロマキー処理技術。

パスの切り抜き処理をせずに特定の色で被写体のバックを抜き、背景処理を一気に済ます方法。主に、タイトなスケジュール管理をクリアするために使うことが多かったのですが、人物撮影をする時にはすっかりスタンダードな手法となりました。何しろ、髪の毛を正確にパスで切り抜くのはほとんど不可能なので、より確実な手法を選択するのは当然の事でありますね。

背景の切り抜きの際のキー信号として、肌色の補色に近いのはブルーです。SF映画の撮影などで「ブルーバック」と呼ばれる青い背景で撮影していたのはよく知られたこと。でも、ファッション関係などでは口紅や服にピンク系(マゼンタ)が多用されている事もあり、その補色域にある緑色をキー信号に指定するケースが一般化してきたように感じます。私も背景紙として使っているのは緑色の♯54スティンガー紙。クロマキー処理の定番紙となりました。

今日も定められた時間内に撮影を終わらせる為に♯54スティンガーをセッティング。もう白い紙をホリゾントに使うことは無くなりました。一度手にした便利な技術がどんどんスタンダードになり、結局過去には戻れません。いつもつくづくそう思います。


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2011年11月29日  DVコーディックのアナモフィック設定の煩わしさ


ちょっと専門的な話になりますが、自分で撮影したビデオ映像をパソコンで編集してDVDにプリントする作業をしていると、その設定において面倒なトラブルに見舞われる事があります。それは最近普及したワイド画面のテレビに由来する問題。今や画面画角が16:9のワイドスクリーンは地デジへの移行と共にしっかり普及したと言えます。しかしながらつい先日まで、画面画角が4:3のスタンダード画面が当たり前でした。ビデオカメラにはその4:3と16:9の切り替え設定があって、事前に切り替えて撮影します。16:9のワイドスクリーン画角で撮影した場合、通常記録された信号の中に「これは16:9の画面ですよ」と認識させる信号が含まれているのですが、パソコンで映像加工編集をしてデータを書き出した時に、その画角を認識する信号をはぎ取ってしまう事があるのですね。そうすると、16:9が正常な画角であるのにも関わらず、ワイド画面のテレビにDVDプレーヤーにて再生すると、4:3の横方向が縮められた歪んだ画角で再生されるトラブルが発生します。これはプレーヤーやテレビ側の設定をいくらいじっても適正に修正されません。そんな大事な情報がふっとんでしまうのは大変問題なのですが、私が普段使っているFinalCutProというビデオ編集アプリケーションにはその埋め込み調整項目が無いのです。

そのトラブルを回避する為に、データを書き出す時に、私はある変換設定を指定していました。それはDVストリーム形式で16:9のアナモフィック(←ワイド画面指定)&音声48kHz指定をする。Macintoshの場合、DVビデオテープから取り込んだデータはQuickTimeコーディックのmov形式信号なので、書き出し時に方式変換が行われます。これによって16:9の画角である埋め込み設定がなされます。ところが、この方式変換の過程でかなり画質が劣化してしまう。斜めのライン上にぎざぎざのジャギーと呼ばれるノイズが乗ってしまうのですね。これが悩みの種でした・・・

先日 画質劣化を抑える設定を再検討している時に、書き出し設定をDVストリームにせず、QuickTimeのままにしてそこに内包されるコーディックはDV指定にするやり方を試しました。するとジャギーの発生をかなり抑える事が出来ました。実はこの設定は書き出しの際のデフォルト(初期設定)でもあるのです。要するに余計な設定の調整をしない方が画質が良いという結果。でも、この設定で書き出されたデータは、先に述べた「これは16:9の画面ですよ」という信号がすっとんだ状態なのです。結果、ワイドスクリーン画角で撮影した映像が、プレーヤーによっては4:3の縮んだ画面になってしまい調整不可能になってしまう。

しかしながらその解決法がやっと分かりました。しっかり調べればその回避方法は以前より存在していたのに、単純に私の勉強不足でありました。一度書き出しをしたQuickTime形式のワイドスクリーンモードの映像データを、QuickTimePlayerという映像再生アプリで開いて、そのムービーのプロパティの埋め込み設定の定義付けを変更しておくだけの事でした。
QuickTimeの設定

理屈はこれで正しい様です。でも、色々なメーカーのDVDプレーヤーで確実に正しい画角で再生できるのかどうかは、今後検証をして確認しなければまだ安心出来ません。まったく面倒くさい事であります。今はまさにワイドスクリーン画角に映像の制作環境が移行する過渡期であり、すべての編集ツールが対応していないもどかしさを感じる現状があります。

添付イメージはQuickTimeのプロパティ設定画面


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2012年1月19日  AVCHD編集の教本


AVCHDは、Hi-Vision動画をフラッシュメモリーやハードディスクに記録する為のフォーマットで、H.264/MPEG4 AVCコーディックによって圧縮されたデジタルデータ。時間軸に対して可変圧縮であり、数十分の一のサイズに高画質フルハイビジョンデータを圧縮できる優れたフォーマット。それだけに、PC上で編集しようとすると、水を含んだ乾燥ワカメの様に一気に容量が膨らみます。その差は約10倍ほど・・・更にPCへの取り込みにはフォーマットのトランスレートが必要になります(例外有り)Macintosh上では.mts→.mp4或いは.movにフォーマットチェンジ。

AVCHDは民生用ビデオカメラでは2006年から市場に出回り、今やビデオカメラの主流になっています。編集には一般にはBlu-Rayレコーダーを使って簡単にディスクに落とせます。その操作はとてもシンプル。でも、テロップを入れたり、トランジョン(カットの切り替わり時のエフェクト)などを付加しようとすると、PCアプリ上でのノンリニア編集作業になり、一気に手間がかかる面倒なフォーマット。仕事でビデオ編集をする者にとっては以前より手間が増えてしまいました。

業務用ビデオの世界では意外な事に、製品(カメラ機種)が市場に登場したのは民生用より遅い2009年の事でした。その時に、私はすぐに店頭でその機材選定と編集環境の確認を行いましたが、アプリケーションがネイティブ対応していなかったので様子見となりました。その後、新しいバージョンのアプリ(FinalCutPro7)が出回りましたので、それを先行導入して1年半経過。機が熟したと判断しましたので、この度 念願のAVCHDカメラを注文して来ました(写真は店頭で操作系を確認していた時のもの)

そのカメラはSONYの業務用AVCHDカメラ。ところが、そのカメラを製造しているのはソニーのタイ工場。そこは昨年夏頃の洪水騒ぎで未だにラインが稼働できていないらしい。注文はしたのですが、納期は未定で現在どうしようもありません。仕方がないので先に編集環境まわりの勉強から先に手を付けています。アプリケーションのマニュアルを読めば、基本操作は勿論分かりますが、細かい環境セッティングに関してはけっこう不明な部分が出て来ます。

そこで・・・参考文献を探すと、これが驚くほど見つからなくて、ユーザーの皆さんは一体どうしているのだろうかと不思議に思うレベル。やっと、ビデオαという業務用ビデオ雑誌の別冊特集号が見つかったので、書店で予約していました。それが届いたので今読んでいます。こういう書籍では、ちょっとしたパラメーターの調整の仕方が一つ判明しただけで元が取れる貴重なものです。映像プロダクションなどでは、現場の編集オペレーターの人たちが試行錯誤して苦労して見つけたセッティングなどがあるハズですが、それを外部の者にそう簡単に教えてくれる訳ではありません。なので、フリーランスのカメラマンは、自力の努力でノンリニア編集のワークフローを見つけて確立しなければなりませんね。それが必須のスキルなのです。でも、プロキシ編集などしたく無い!面倒臭い!と思わず愚痴ってしまいそう・・・


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2012年5月31日  デフラグというリスク管理


パソコンのハードディスクは長い間使っていると、データの断片化(フラグメーション)という状態がだんだん進行して ファインダーの反応速度が低下していきます。特にその影響が強く出るのが動画編集をやっている場合。それはレンダリング作業に影響を及ぼすかも知れないので、本当はやりたくないのですが今回デフラグ(断片化の解消処置)を行いました。デフラグには専用のアプリを使います。MacOS XではNetJapanのiDefrag4というものを利用しました。

かねてよりUNIXベースのMacOS Xは断片化の解消をする必要が無いと言われています。でも実際には断片化によるパフォーマンスの低下は実際に起こる訳で、結論として放ったらかしで問題ないとは言えないのですね。

今回主力マシンのIntel iMacをデフラグしました。HD容量は1TB。現状としてはその7割の容量にデータが存在しています(システム&アプリ含む)。デフラグを始めてみたら、何だか凄い事になりました。作業状態を示すプログレスバーにあたる表示がなかなか進まない。昨晩の午前2時に開始して、朝起きてから確認したらまだ3割しか進んでいなかった(汗)結局 全ての処理が終了したのは18時間20分後のこと。実質的にほぼ1日かかったと言っても過言ではないでしょう。

専門的な事を言うと、単にデータファイルの断片化だけが問題では無い様です。データの読み出し情報にあたるB-Treeやメタデータなる不可視ファイルも適切に再構築するらしい。それによってシステムパフォーマンスはかなり改善されるそうです。実際、デフラグが終了した環境で今 作業をしていますが、目に見えて反応速度はアップしていますね。とても快適です。

今回は無事にデフラグが完了しました。実は・・・デフラグにはちょっとしたリスクが存在します。断片化を解消したらシステムが起動しなくなったとか、データが読み出せなくなったとか、HDへのアクセス不良が発生したとか・・・私は過去にデータが読み出せなくなった事が実際にあるので、出来るだけデフラグはしたくありません。今回実施したのは、先日購入したAdobeCS6をインストールする為でもあります。健康状態の良いシステムに新規にアプリをインストールして、良好な状況で作業をしたいが為の荒療治とでも言えましょうか。

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