2007年01月22日   モノクロ写真の話 1 ( 現像編 )

いつの間にか モノクロ写真の話題に入ってしまいました・・・
いろいろあって・・・私にとってこの話題は鬼門だったりします。
でもそのうち話そうと思っていたので触れることにしましょう・・・

美術大学のグラフィックの授業では、写真のイロハもやりました。写真の意義は、観察力とセンスを養う為だとか?・・・かなり後になってから納得しましたが。カメラは父親から借りたNikon F2フォトミック。フィルムはコダックのトライXとフジのネオパン400。ロール缶で買って来て、自分で36枚分パトローネに詰めます。そうするとかなり安上がり。何しろ学生というものは貧乏なのです。

「撮影だけではなく 現像や引き伸ばし作業まで習得して一人前だ」と、写真の授業の先生に 耳にタコができる程言われました。でもその時は、実は私は現像という作業が不得手でありました・・・好きではなかったのです。ダークバックの中でフィルムのパトローネを専用のペンチで開けて、現像タンクのフィルムの渦巻き状のフォルダーに巻き込みます。これがなかなか慣れず・・・面倒くさい。

次に現像液の問題が・・・当時 D76というコダックの現像液を使っていましたが、使用していて何だか思ったような現像結果を残せない・・・それで「富士フィルムのフジドールにするとネガのコントラストが締まって良い?」「現像液はウナギのタレの様にどろどろに煮詰まってからが良い」などと人の噂を聞いて試してみたりしたのです。ところが、これがうまくいかなかった!メーカーや薬剤・保存状態が変わるとさじ加減もかなり違ったのでした。

大失敗!・・・やり直しは効かないのでした!アナログの宿命です・・・一度現像してしまったら、そのフィルムはそれで終わりです。 何日もかけて上野アメ横を取材したネガフィルム約10本程・・・全てパアになりました・・・がっくり。 ほぼ真っ黒になったフィルムは、裁断して本のしおりに。けっこう長いこと使っていました(苦笑)

他にも増感処理に関心を持って、フジのパンドールを使ってみたり・・・これがイメージを超えたザラザラの画質に・・・もともとそういうもの?だったのです。フィルム増感は万能ではありませんでした。
モノクロフィルムの現像の段階で、基本的な画質が決定してしまいますので、人によって様々なノウハウがあるのだと言うことです・・・

私はもともと物事にはのめり込む性分で いろいろ試してみたのですが、逆にあれこれやりすぎた?こと現像に関しては 落第生だったのではないかと思います。めいっぱい挫折感を味わいました・・・
今、本棚に並んでいる自分で現像したフィルムのアルバムを見ても、現像の安定しない「濃度のコントロールに失敗した証拠」が少しだけ残っています。目に痛いです・・・

そんな現像がいまいちなフィルムでも存在価値はあるのです。フィルムスキャナーでデジタル化すれば、Photoshopという大変便利な画像処理ツールで修正が出来ます?ホント?暗室から明室へ・・・失敗を取り戻すべく試行錯誤することで、私の「黒魔術」は向上してきたとも言えます。あんまり胸を張れないコメントですが・・・


左:ステンレスの現像タンク これだけは記念に残してあります
右:Nikon F2 アナログカメラは25年経っても完動します!


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2007年01月23日   モノクロ写真の話 2 ( 印画紙 )


フィルム現像の次の行程に「引き伸ばし」作業があります。いわゆるネガフィルムからプリントを作るのです・・・そのプリント用紙は銀塩印画紙と呼ぶ特殊な紙です。 普段は真っ黒な袋に入っていて、絶対に光を当ててはいけません。もし明かりのある所で袋から出すと、一瞬にして使い物にならない紙くずと化してしまいます。印刷とは違う、それは何故か・・・

フィルムの情報を印画紙に感光させる理屈はとてもシンプルです。写真を撮る行程を逆にすれば良いのです。フィルムに強い光を当てて、感光剤が塗ってある紙の上に拡大照射し(焼き付け・引き伸ばし)その紙を現像→定着→乾燥 すればできあがり。この作業を真っ暗な部屋、いわゆる暗室で行います。印画紙は特定の赤い波長の光には感光しにくいので、暗室内では真っ赤なランプの下で作業を進めます。一瞬の光を照射する時だけは、漆黒の闇の中での手探り作業となります。
この一連の作業をするためのノウハウは修行が必要!写真の自家処理の敷居が高いと言われる理由です。

DPEラボでは全自動の機械の中でそういう作業が行われている訳です。ちなみにDPEとはDeveloping(現像)Printing(焼き付け)Enlargment(引き伸ばし)の略語で和製英語。元々モノクロ写真は自家処理できる様に 全ての機材が販売されています。一方カラー写真に関しては、現像定着液の温度管理がもの凄くシビアな為、長い間個人向きの機材が安くならず、普及していませんでした。それで 一般的にはお店に頼むしかなかったのでしょう・・・

モノクロ用印画紙には主にバライタ紙というものが使われていました・・・私は三菱製紙の「月光」という名前の紙を愛用していました。分厚い紙質でとても良かった。バライタ紙とは 硫酸バリウムとゼラチン液を塗布した紙に、感光乳剤と保護膜を乗せて印画紙としたものです。感光定着作業後に圧着乾燥機で引き延ばしておかないとシワが寄ったりしてしまい、平らにするのにコツがいりました・・・その時に紙の表面のホコリやゴミをしっかり取り除いていないと、乾燥後にくっついて取れなくなってしまいます。そういうアナログな作業が大変手間がかかるものでした・・・徹夜する覚悟が必要。

そのバライタ紙は、需要の減少とともに採算が合わなくなったと見え、数年前に生産停止。モノクロ写真にはこの印画紙でなくては味が出ないとも言われていましたので、その方面では大事件と言えます。現在では、そのまま乾燥してもOKな新しい紙質のRCペーパーが後を引き継いでいます・・・私は使用したことがありませんが、小耳にはさんだ話だと バライタ紙とは異質のもの?との評判らしい。

ところが、2007年の今春!その「月光」が復活すると言うではないですか!これが今日の本題・・・何かと思えば、デジタル出力用・・・インクジェット紙としてのカムバックだということです!現在市販されている写真用のインクジェット紙は、何処のメーカーの厚手のものでさえ ペラペラの頼りなさです。紙の質感に物足りなさを感じておりましたので、私にとっては待ちに待った商品と言えます。フィルムだけではなく、印画紙も時代と共に変化していくことに感慨がまた深まりました。(もっとも、本当の月光は印画紙と共に消え、ブランド名だけ残ったのですが・・・)

写真は昔の月光のパッケージ。私は2号〜3号のタイプを使用していました。昔は紙質によっても写真の軟調〜硬調を表現していました。


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2007年04月14日   モノクロ写真用紙「月光」発売

モノクロ写真用紙「月光」発売!

今年の1月23日にコメントした話題に戻ります。一昨年前に「月光」というモノクロ写真専用のバライタ紙の生産が終了・・・使ったことのある者には、その紙の存在意義は大きなものだったと思います。また一つの時代が終わったのだと感じました。

その「月光」がインクジェットプリント用紙のブランドとして帰って来ました!果たしてどんなものなのか?
早速 買って試して見ることに・・・

新生「月光」は4種類。
やや粒状感のある光沢紙  →ブルーラベル
テクスチャーのある画材用紙→レッドラベル
バライタ紙の質感     →グリーンラベル
マット紙         →ブラックラベル

3月末に第一弾として発売されたのは、ブルーとレッドの二種類。2号3号といった軟調硬調の使い分けでは無くなり、紙の質感自体が全く違うとのことです。そう来ましたか・・・考えてみると、モノクロ印刷専用というのは なかなか難しいと思われる商品企画です。インクジェットの写真用紙は様々なメーカーから高価なものが発売されているので、ただ綺麗だと言うだけでは駄目でしょう。それなりの+αが無ければ、高い価格に納得は出来ません。

今日は ブルーラベルを買ってきました。試し刷り・・・写真は15年位前に箱根彫刻の森で撮ったブロンズ像。とてもセクシーで私の目を惹きつけました。 気に入った写真は やはり良いプリントにして見たくなります・・・

Mamiya 645 80mmF2.8 ネオパンSS その他データ不明


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2007年04月15日   モノクロ表現についての再考

そもそもモノクロ表現というのは不可思議な表現です・・・

普段フルカラーで見ている世界から わざわざ色情報を抜いて見せているのです。1827年にフランスのJ.N.ニエプスという発明家が写真技術を研究し、1839年に彼の友人のL.M.ダゲールという画家が確立したダゲレオタイプから 写真の歴史が始まったとされています。カラー表現の研究自体は1800年代初頭からすでに始まっていた様で、1860年頃には最初のカラー写真が撮られています。つまり最初 技術的な制約でモノクロでしか表現出来なかったのであれば、その後現れたカラー表現にバトンタッチすることは自然な流れであると思うのですが・・・180年近く経っているのに未だに白黒表現がしっかり残っているのは、技術という側面だけでは無い 感覚的な嗜好の世界から来るものだと思われますね。

話が少し飛びますが、プロが使うビデオカメラのビューファインダーは未だに白黒タイプが残っています。それは何故か?ビデオカメラマンの仕事はフレーミングとフォーカス・明るさを瞬時に調節すること。その段階で色情報が無い方が良いということらしい。モノの形とコントラストに意識が集中できる訳です。総じてモノクロ表現には 視覚化情報の引き算で何を見せるのかという方向性が見えます。

ここまで書いておいて、話をひっくり返しますが・・・モノクロ表現において 色が綺麗に見えるというモノの見方が厳然としてあります!?私は「赤いリンゴをより赤く感じさせる」という白黒写真を見たことがあります。それなどは、理屈から外れた感覚の世界。コンセプト寄りなのか 心で感じる精神世界なのか・・・ここで真偽についての論議は避けますが、そういう価値観があるのは確かであると言えます。

以前では・・・写真の勉強は大抵モノクロ写真の授業から入りました。モノクロが基本技術でした。デジカメ全盛時代となった今では その存在意義はいったいどうなのでしょう・・・白黒だから全て古いという見方は違うと思います。今回、「月光」というモノクロ表現に特化した デジタル処理前提の商品が出てきた事は、表現上でのこだわりを再考する良いきっかけになると強く感じました・・・

写真は私が小学校3〜4年生の時に遊んでいた世田谷区にあった空き地。今では家がびっしり建っています。遠い記憶の彼方にあるこの写真は 白黒フィルムで撮ったものであるのに 私の意識の中では鮮やかな緑色のままでいつまでも広がっています。

Nikon F2 Ai35mmF2 ネオパン400 使用・・・ その他データ不明


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2007年04月16日   RGBのモノトーン調整について 1


カラー写真をモノクロ写真へ調整する話・・・

インクジェットプリンターでモノクロ写真を印刷する場合、モノクロ表現は完全に白黒だけの世界なのか?というと実際には違います。それはいかに無彩色であったとしても、インクジェットプリンターのグレー表現は、カラーインクも微妙に使って表現しているからです。そうなると、元データについても完全にモノクロ情報である必然性は有りません。

少しややこしくなりますが、最近のモノクロ印刷の方法論では、RGBモード各チャンネルを維持したまま無彩色調整を行うやり方を推奨するようになりました(Photoshop使用を前提)つまり 元のデータは、モノトーンのカラー写真のデータであるという事になります。モノクロフィルムをスキャナーで取り込む時にはRGBカラーモードで取り込む事になります。

一方、カラー写真のモノクロ化についても、方法が多様化してきた様です。10年前の教本の類には・・・

 カラーモードを RGB→グレースケールに変換してモノクロ化
 彩度を0レベルにして 色情報を無彩色化

それが、最近では「チャンネルミキサー」という機能を使って、RGB値を調整するやり方に・・・また そろそろ発売される Photoshop CS3では「White&Black」という専用コマンドが搭載され、更に微調整が効く様になります。以前とは隔世の違いを感じます。この辺りの詳細は いずれ必ずレポートします。CS3は否が応でも買う事になるでしょうから・・・デジタル調整では、モノクロは厳密には「モノトーン写真」というカテゴリーになりそうです。調整の好みによって 若干セピアの様な色味が残る事があります。

写真は穂高連峰(北穂高〜奧穂高)これも古い写真です。学生の時に尾根を縦断しました。私は山男ではありませんので、ハーケンを使って登る槍ヶ岳は遠慮しました(あんな絶壁はとても無理・・・)どの尾根にレンズを向けているのか?記録記憶無し・・・

RGBモードでスキャニング後 チャンネルミキサーにてモノトーン微調整。
スキャナーが不調〜空に薄く縞の発生を確認できます。
Nikon NewFM2 (恐らくSIGMA28mm F1.8レンズ使用)
ネオパン400 その他データ不明


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2007年07月25日   赤外写真 1

以前撮った「まったり写真」を探しているうちに、記憶の彼方に忘れていたものを思い出しました。

「赤外写真」

聞き慣れない名かも知れませんが、一つの確立された手法でもあります。光の波長の中で 700nm(ナノメーター)よりも長波長の光(赤外線)は人の目には見えない領域です。その自然光の中の赤外波長に感光しやすいフィルム・・・コニカインフラレッド750と言う赤外フィルムがありました。撮った写真はモノトーンになります。これを使った撮影では 赤外線の量を計る為、特殊な写真となります。

赤外写真撮影はいろいろ面倒な条件が付きます。まずレンズに「R-1タイプ」の真っ赤なフィルターを付け、赤外線を透過しやすくする必要がある。赤外線は可視光とは違った焦点を結ぶので、オートフォーカスでピントを合わせるとボケた写真になってしまう。フィルム時代のレンズには、焦点の指標目盛りの横に赤い点が付いていました。一度肉眼でピントを合わせておいて、赤い点にピントリングをズラして合焦させる・・・そんな手順です。

どんな写真が撮れるのかというと・・・自然の中にあって 赤外線を多く反射させるものに「植物」があります。そして更に黄色い花などは特に多く反射させるらしい。赤外フィルムは赤外線に感光して その部分は白くなります。一見ネガポジを反転した様な幻想的な世界と成るわけです。

あまりに特殊な写真である為に、その需要は一般的には知られていません。難しいので自分でやってみても、なかなか良いイメージは得られなかった・・・でも、一度でもやってみるとその不思議な雰囲気に魅了された憶えもあります。

実は 先日導入したPhotoshopCS3でその「赤外写真」のシミュレーションが出来る事が分かりました。またもや簡単に出来てしまいます。ただし・・・素材に使う写真を選ばなければ効果が出ません。まずは普通の写真を一枚加工してみました・・・更に・・・キヨハラソフトイメージを赤外シミュレーションすると なかなか良い結果が得られました。それは次回に・・・


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2007年07月26日   赤外写真 2

フィルムで撮ったものも含め、赤外写真には画質上のデメリットが発生します。まず、高感度で撮った様なザラザラした質感を伴う。ベタ面にグラデーションのムラが生じる・・・それはデジタル画像に赤外効果のシミュレーションを施しても同様です。独特な表現に加え、質感に多少の劣化が生じるので、やはり一般的な写真としては同列に論じられない感じがします。

以前撮影した風景写真をいろいろ赤外写真化してみましたが、あんまり効果がマッチしません。そこで、試しにキヨハラソフトで撮った素材を使ってみました・・・意外にも相性が良い結果が出ました。
元がボケているので、少し位ザラ付いてもムラが出ても目立たないからでしょうか・・・

とりあえず3枚ほど シミュレーションしてみました・・・


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2007年07月27日   赤外写真 3


独特と言うか異様な雰囲気すら漂う赤外写真・・・こんな特殊写真でも その魅力に取り憑かれて探究している人たちは少なからずいました。それは何故かと言うと・・・赤外写真にうってつけの被写体があるからです。

「桜が咲きみだれる風景」

赤外フィルムで桜を撮ると、妖艶な異次元の世界が演出できるのです。私がかつてコニカインフラレッド750を買って 撮った被写体も桜だったと思います。その時のフィルムは 今の所見つかっていませんので、例によって デジカメの桜をいろいろ赤外写真化してみました・・・

後処理だとやはり効果がなかなかうまくマッチしない・・・明るい所が飛び気味になってしまいます。無難なものを一枚だけアップします。処理過程で発生したノイズ+細かい所がほとんど消失してしまうので、結果は今ひとつといった感じですが・・・


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2007年07月27日   赤外写真 応用編


赤外シミュレーションは面白いのですが・・・

あれこれやってもなかなか思い通りにいかないので ひとまずおしまい。
その代わり赤外化のパラメータを応用して モノクロ写真のコントラスト
調整に応用すると 良い結果が得られるコツが見えてきました。

こちらの方がメリットが高いです。
試しに花子さんの写真をモノクロ調整してみました。
コントラストのめりはりに特徴が出ます。

今回の収穫です・・・


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2008年03月30日   帰ってきたバライタ紙

モノクロ写真を自家処理で焼き増ししていた経験のある人には「バライタ紙」という印画紙の存在は周知のことかと思います。とても厚くて堅い質感の紙で、写真の表現は独特な光沢感がありました。私が愛用していたのは三菱の「月光」というブランド品。その記事は昨年に書かせて頂きました(→2007.1/23&4/14のコメント)

その時には「月光」が、インクジェットプリンター用のプリント紙として復活するニュースにも触れました。当時はブルーラベルとレッドラベルの二種類が発売されたという内容。その後、グリーンラベルとブラックラベルが発売される予定でした。注目すべきは、グリーンラベルの存在。これはかのバライタ紙の質感をインクジェット紙で再現したものだとのこと。

グリーンラベルは昨年の秋頃?には既に発売されていた様ですが、間抜けな事に私はすっかりその事を忘れていました。先日、パソコンサプライ用品コーナーでこの商品を見かけて買って参りました。手にしてみると確かに厚くしっかりした質感です。六切り15枚で二千円ほどするのは高いかと思いましたが、印画紙のコストを思い起こせばそうでもないか?・・・

気楽に何かをプリントするには惜しいので、それ相応のデータをセレクトして近日中に試し刷りをしてみます。最近は写真表現をするには楽しみな優れものが 次々と商品化されてきます。とても良い時代かも・・・
一方でフィルム環境は縮小されていく・・・こちらはお寒い状況であります・・・


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2009年01月28日   サンドブラスト効果

サンドブラストとは・・・本来 彫刻分野でエッチング加工する時に、素材の表面に堅い粒子を圧縮空気で吹き付けて削り、模様を浮き立たせる手法です。ザラザラした表面の質感が特徴で面白い表現方法かと思います。身近な所での活用事例では、ガラスの表面にエッチング処理をした上でサンドブラストし、絵や文字を彫刻するなどしているものが多いですね。観光地のガラス細工のお土産なんかでも普通に見かけますし・・・ちなみに、ちょっと調べてみましたら、フッ化水素を使ってガラスの表面を磨りガラスにすることもサンドブラストと言うそうです。

そのザラザラ感をデジタル写真のエフェクトに、しかもモノクロ写真に応用したフィルターが出て来ました。PanasonicのLUMIX DMC-LX3という、コンデジのフィルター設定にです。その名もサンドブラストと言う。まんまのネーミング。

モノクロフィルムの粒子を、意図的に荒らして表現する手法があります。指定のISO感度を上げて増感処理したり、フィルムの現像時にわざと高い温度で処理したり・・・フィルムの粗粒子は独特の雰囲気が出るので、それを作風にしている作家さんもいらっしゃいますね。私も過去に数回だけやってみた事があります。

カメラがデジタルになってからは、高感度設定にしてもカラーノイズと輝度ノイズが増えるだけです。ノイズは粗粒子感とは別物なので同じ表現にはなりません。汚い?だけかな。Photoshopで、グレーノイズを乗せる方法で多少近づきますけれど、本質的には全く別物かと・・・以前、フィルムの粒子感のコメントで述べた事です。それをLUMIX DMC-LX3では果敢に挑戦している様です。ネットでのサンプルを見ましたが、なかなか頑張っているのでは無いかと感じました。まぁ、問題は・・・この表現を意図的にどのくらいコントロールして作品に出来るかどうか?実際は使ってみないと分かりませんね・・・

ちょっと関心が高まったので・・・Photoshopでシミュレートしてみました。カラーイメージを単にモノクロにしてノイズを乗せるだけではあまりインパクトが出ないので、疑似赤外化してからグレーノイズを均一にかけて作成。少しはLUMIX DMC-LX3のサンドブラストに近づいでしょうか?スキル云々より、イメージがどうあるかがやはり大事かと思いました・・・


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2009年05月13日   フィルム シミュレーション

デジタルカメラでフィルムっぽい質感を出すのはけっこう難しく、意図しても必ず思い通りになるとは限りません。以前より画像処理でのシミュレーションの手法をいくつか紹介してきましたが、技術的な可否と結果はなかなか一致しません。

でも、デジカメで撮った画像を見て「これはフィルムっぽく写ったかな?」と思える感触を時々感じます。変な言い方ですがこれは感覚の話ですので主観でしかないかも知れません・・・これは単にモノクロ化する話とはまた別の話であります。

少し言葉を足すならば・・・この場合のフィルムっぽさとは、一昔前の粒状感を感じたトライXやネオパンSS辺りのイメージです。まぁ、それらは必ずしも粒子の有無を生じるものではありませんが、記憶〜意識の中にある何かなのです。デジタルから入った世代の人にそれをうまく説明が出来ません。もどかしい・・・(汗)

先ほど撮ったぼたんの写真。モノトーンにしてノイズを少し乗せました。私の感覚ではデジタル臭さがうまく抜けたと思えるのですが如何でしょう?

Nikon D700 Nikkor Ai85mmF1.4→2.8 1/30 ISO1250 トリミング
Photoshop CS4にてモノクロ処理 グレースケールノイズ4.8%均等に分布


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2012年6月26日  久しぶりの赤外写真シミュレーション

今日は梅雨の合間の五月晴れというヘンな表現を気象予報士が口にしていました。青空が気持ち良くそれでいて気温は4月下旬頃のさわやかさ。しかも湿度がかなり低め。ちょっと木陰に入れば、まるで軽井沢に行ったかの様な気持ち良い雰囲気でした。



ちょうど時間の都合が出来たので、家族そろって近場のアンデルセン公園にピクニックに。そう言えば年間パスポートを申請していて、それを受け取りに行かなければならなかったし・・・

公園の中を歩いていると日射しはけっこう強くて紫外線を感じました。でも気温が20度も無かったのでは無かろうか。そのギャップがとても心地良し。写真を撮っていて「これは赤外シミュレーションに向いた素材になるかも」と直感したのでさっそくセレクト。

これまで度々赤外写真化のシミュレーションはやっているのですが、意外と良い結果が得られていません。技術的には難しく無いながら、これは素材の質を問いますね。赤外写真に向いた素材とは・・・かつてのコニカインフラレッド750で言えば、可視領域外の赤外線波長光が強い事が条件。でも疑似赤外化ではデジタル処理で近づけているだけなので、その理屈は直接関係無いでしょう。経験的には 白・黄色・新緑の緑など明度と彩度が高い色調部分が赤外化に近い効果が期待できる感じ。



今日のデジタル写真データは結果的にそこそこ向いた物だったと言えそうです。単に赤外化しただけではちょっと硬い印象なので、同時に疑似キヨハラソフト効果も掛け合わせてみました。今日の撮影はこれまた久しぶりにSIGMA DP1で。この所出番がとても少なくなっているのですが、これはやはりクセ者で楽しい個体であります。また見直して時々使う気になりました・・・

今日は・・・
もちろん家族サービスの方もしっかり出来て楽しいホリデーとなりました・・・


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